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Artist Celeb News Column NO.16 Editor2 Tweet

[コラム] 洋楽/邦楽

NO.16編集部コラム


ニューアルバムのリリースが楽しみなアーティストがいる。Jojiという名義で活動しているアーティストだ。すでに1枚のアルバムをリリースしており、今年9月にニューアルバムのリリースが予定されていて、すでに先行トラックとして3曲が聞くことができる。

ご存知の方もいるかと思うが、彼はアメリカを拠点に活動している日本人だ。Wikipediaによると、本名はジョージ・楠木・ミラーで、神戸出身。18歳で神戸のインターナショナルスクールを卒業して、アメリカに渡ったという。当初はYouTuberとして活動していたが、2018年にシンガーとしてアルバム「Ballads1」をリリース。タイトル通り、スローテンポの楽曲が並ぶアルバムだが、その歌声は気だるさと、どこか達観したような、彼自身もよく比較されるそうだが、James Blakeを彷彿とさせる。サウンドは、エレクトロ、トラップ、R&Bなどの影響を感じさせる。そしてこのアルバムがBillboardチャートのR&B & Hip Hopで1位を獲得という偉業を達成。

しかしなぜかこのニュースを筆者は日本でほとんど耳にしなかったように思う。ウェブで取り上げていたメディアももちろんあったが、もっと大きなニュースになっても良かったのではないだろうか。同じ日本人として誇らしいことであり、何よりもっと聞きたい、生で歌声を聴いてみたいと思える素晴らしいサウンドである。

こうした状況は第一に、我々のようなウェブメディアを含めて、メディアの方向性が内向きになってしまった、という点が挙げられるだろう。これはメディアに関わる身として著者も悔しい思いをしたし、残念でならない。(なお、このNO.16は基本的に海外の音楽を中心としている。)

音楽ジャーナリスト宇野維正氏と音楽雑誌「Snoozer」の編集長だった田中宗一郎氏による著書「2010s」を読むと、なぜ内向きになったのか、日本における音楽などのポップカルチャーの流入にどんなことがあったのかが、彼らの視点から語られているが、本当に日本の音楽への接し方は「ガラパゴス化」してしまっているように思う(もはやこの表現自体がガラパゴス諸島に失礼かもしれない)。誤解して欲しくないのは、日本の音楽が良くない、と言っているわけではない。日本にも素晴らしいアーティストがたくさんいて、日本の音楽の歴史がある。

ただ政治や経済がグローバル化し、海外で活躍するスポーツ選手も本当に増えた。にも関わらず、なぜか文化面ではまるで目や耳を閉じてしまったかのようだ。Apple music、Spotify、YouTubeと、以前に比べれば簡単にアクセスできるようになったのに、だ。Spotifyの日本のバイラルチャートを見ても、ほとんどがドメスティックだ。それだけ日本の音楽シーンが熟成し、多様化しているということも言えるだろうし、それは喜ばしいことだし、もちろん、そうしたツールを使って世界にアクセスして積極的に音楽を探している一般リスナーは大勢いるのだろう(もしかしたら大多数がそうなのかもしれない)。

ここで著者が思い返すのは、宇多田ヒカルがデビューした時だ。完全に日本の音ではなく洋楽のようだと言われていた。しかし、彼女のアメリカデビュー盤となった2004年の「EXODUS」は全米アルバムチャートで最高160位と、ほろ苦いものになったのをご存知だろうか。著者は、正直なところ期待していただけに、アメリカでのヒットにはならずショックとともに、アメリカでヒットすることの難しさを、痛感したものだ。思えばこの2000年代半ばくらいから、日本の音楽界は内向きにベクトルが向いていったのではないかと思う。少なからず宇多田ヒカルでも全米デビューは振るわなかった、という、ある種のコンプレックスのようなものが日本の音楽会に植え付けられてしまったのかもしれない(飛躍しすぎかもしれないが)。

とは言え、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅコーチェラに出演したり、BABYMETALのアルバムが全米でヒットしたり(こちらは日本でもニュースになった)、Porter Robinsonが自身のオンラインフェスに長谷川白紙を出演させたりと、つながりが絶たれたわけではないのだ。世界の音が日本にもつながっているように、日本の音も世界につながっている。だからこそ、より世界の音を楽しんでみてはどうだろうか。以前に比べると英語に抵抗感がないという10代20代ははるかに多いだろう。その歌詞やサウンドには、日本では感じられない新しい感覚や、感情や、オピニオンが隠れているはず。

なんにせよ、我々メディアに関わるものは、積極的に海外の音楽の情報を提供していきたいと思う次第である。改めてJojiのニューアルバムリリースの暁にはレビューをお届けできればと思っている。

(NO.16編集部)

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