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ハワード・ジョーンズ、 20​19年8月2日の東京公演レポートが到着

HOWARD JONES


84年当時、最先端の楽器だったシンセサイザーを駆使して、親しみやすくも奥行きのあるエレクトリック・ポップを展開したデビュー・アルバム『かくれんぼ』から35年。そして4年ぶり、通算11枚目のオリジナル・アルバム『トランスフォーム』を今年5月末にリリースしてからわずか2か月ほどで来日を果たしたハワード・ジジョーンズ(Howard Jones)。まさに特別なステージが7月31日(水)にビルボードライブ大阪で、8月2日(金)、3日(土)にビルボードライブ東京で行われた。

(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)

ハワード・ジョーンズ、 20​19年8月2日の東京公演レポートが到着

2017年1月に開催された前回の来日公演は、(その時の最新作であった前作)『エンゲイジ』の収録曲とこれまでの代表曲を織り交ぜた内容で、かつての名曲も中低域の音がブーストされて新たなリズムとビートも加わり、新旧の楽曲が隣り合わせになっても違和感なくアップデートされていた。今回の来日公演でも、事前のインタヴューで「新旧両方の曲をミックスしたセットにするつもりだよ。ニュー・アルバムからの曲もまとめて演奏するのではなく、かつてのヒット曲と交互にやろうと思っている。『トランスフォーム』からの曲とのバランスが取れるように、昔の曲にほんの少し手を入れ、新たなサウンドを加えて調整して、途切れることないセットを組み立てたんだ。突然、昔の曲になってびっくりされる、っていうんじゃなくね(笑)。どちらも引き立て合う形になればと思っている」と答えていたこともあり、構成としては前回を踏襲しようとしていたことが伺えた。

一方で、最新作『トランスフォーム』は、テクノ/EDMをハワードなりに解釈した前作とは打って変わり、『かくれんぼ』や2ndアルバム『ドリーム・イントゥ・アクション』を思い返させるメロディ・オリエンテッドな作品であり、1st、2ndの楽曲との相性は最適だということは予想できる。今回のライヴはきっと前回を上回るはず、そんな逸る思いで2日の1stステージに向かった。

場内はほぼ満員。目を輝かせながら開演を待つデビュー時からのファンと思しき人や、父親と一緒に来て少し緊張した面持ちを見せていた中学生くらいの男の子など、あらゆる世代の観客がハワードの登場を待ちわびていた。開演時間を少しだけ過ぎて、ハワードが大きな拍手を受けながら、ひとりステージに上がる。向かって左手に置かれたキーボードの前に座ったハワードは、静かに鍵盤を弾き始めた。1曲目は『かくれんぼ』の表題曲(原題は「Hide And Seek」)。あの神秘的な音色で紡がれた原曲をシンプルなアレンジで、感情が高ぶるのを抑えるようにした歌声を聴かせていく。静まり返った場内に衰えを知らない声が浸透しきったところで、ショルダーキーボードを手に取り、2曲目の「イクォリティ」へ。この曲も『かくれんぼ』収録曲だが、いかにも80年代らしい音色に彩られた原曲をバキバキのEDMにも負けない音圧に引き上げ、一気にダンスモードへと持っていくハワード。彼の背後にはコンセプチュアルな映像も投影され、楽曲の世界観とシンクロしていく。3曲目は最新作から「ビーティング・ミスター・ネグ」が披露されたが、この35年目の曲と35年前の楽曲のギャップを驚くほど感じさせない。まるでDJミックスのように高揚感を損ねることなく高めていった。この曲でも映像が楽曲の世界へと誘っており、時おりハワードはスクリーンに顔を向けて指差しながら、今度は感情を解放させながら歌っていった。楽曲後半のキーボードによる独奏パートを迎えると、それまでヘッドセットマイクで歌っていたハワードがステージ真ん中のメインのキーボードを弾き始め、せつなくも美しい旋律を聴かせてくれた。

ハワード・ジョーンズ、 20​19年8月2日の東京公演レポートが到着

続く「エヴァーラスティング・ラヴ」(89年発表『クロス・ザット・ライン』収録)も起伏のあるメロディはそのままにサウンドは現代風にアップデート。終盤には軽やかなピアノが入り、ハッピーな雰囲気に。そのまま最新作収録の「ヒーロー・イン・ユア・アイズ」、『エンゲイジ』収録の「ヒューマン・タッチ」と、EDMの生みの親とも言うべきエレクトリック・ポップの祖らしい先鋭的なサウンドで会場をどんどん熱くさせていった。

そのダンス・チューン2曲が終わるとクールダウンしようとばかりに、おなじみのメロディをひとり弾き始めるハワード。「悲しき願い」(『ドリーム・イントゥ・アクション』収録。原題は「No one Is To Blame」)だ。切々と歌うハワードはこの曲から33年の時が経過している。しかし、歌声は深みを帯びただけでほぼ変わらずにフレッシュであり、楽曲のみずみずしさも失われていない。そればかりか、ハワードのアップデート・アレンジによって新たな生命を宿したかのようだ。そのメロディアスな名曲に聴き入った後は、「君を知りたくて」(『ドリーム・イントゥ・アクション』収録。原題は「Like To Get To Know You Well」)へ。非常にエレクトリックなアレンジながら、いつもながら有機的に聴こえるのはレゲエのリズムを取り入れた斬新さによるところも大きい。そのままのエレクトリック・モードで、最新作の1曲目で未来感あふれる「ザ・ワン・トゥ・ラヴ・ユー」に突入。チャーチズをはじめとする現在のエレクトリック・ポップ・グループと比べてもまったく遜色のない音色と音の使い方で、35年目のベテランらしさと現役感をしっかりと打ち出していた。

ハワード・ジョーンズ、 20​19年8月2日の東京公演レポートが到着

まさにそんな時空を超えた印象をまたしても与えたのが『かくれんぼ』収録の「ホワット・イズ・ラヴ?」。まるで昨日できたばかりのようなフレッシュなエレクトリック・アレンジで、観客も一気に総立ちに。ラストは音をノイジーに歪ませてロックらしさも演出。アレンジも細部にわたって気を配るところが、いかにもハワードらしい。そして、待ち焦がれていた「ニュー・ソング」(『かくれんぼ』収録)が飛び出すと、盛り上がりは最高潮へ。右手でショルダーキーボードを弾き、左手でキーボードを弾いて、ふたつの音色を重ね合わせながらアカペラのように歌い出し、1パート終えるとあのカラフルなサウンドが一気に開花するようにあふれ出していった。ラストはおなじみの「オンリー・ゲット・ベター」(『ドリーム・イントゥ・アクション』収録。原題は「Things Can Only Get Better」)。前回はサビの♪Wow wow wow oh, wow wow wow oh oh oh oh♪を一緒に歌ってほしいと演奏前に観客に練習させたが、今回はそのかいもあって(!?)、練習なしでもしっかりとシンガロングは沸き起こり、ハワードも満足そうに声を高めていった。

蓋を開けてみれば全11曲中、新作と前作の曲は4曲という、ほぼグレイテスト・ヒッツ・ライヴ。しかし、その新曲たちも、数年後には数々の名曲の仲間入りを果たしそうな予感を抱かせる。ハワード・ジョーンズは今もそれだけ充実した音楽生活を送っている。そう強く実感した夜だった。

文|油納将志
写真|Yuma Sakata

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東京公演のセットリストが、プレイリストで期間限定公開中

https://SonyMusicJapan.lnk.to/HowardJonesLiveJapan2019

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