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[コラム] Inner World by Dalai Lama

NO.16編集部コラム


Inner world by Dalai Lama

チベット仏教のラマ、ダライ・ラマが7月6日に85歳の誕生日を迎えた。そして、なんと、その7月6日にファースト・アルバムをリリースした。タイトルは「Inner World」だ。

チベットは、中国からの独立運動が続いており、現在は事実上の中国内の「自治区」という立場。ダライ・ラマ自身はインドの亡命政府にいる、という状況だ。その独立運動の象徴的存在でもあるダライ・ラマが85歳にして音楽アルバムをリリースしたという。

トラック的にはインド音楽に近いだろうか。チルアウト系のトラックが続く中に、時折ダライ・ラマの説法が、まるでマンブルラップのように乗っている。

ダライ・ラマは確実に世界に向けてのメッセージを発信している。1トラック目の「One of My Favorite Prayers」は英語でのメッセージを発信している。そこでは、自問自答のような形で、語られている。

この宇宙が続く限り、そして、この世に生き物が存在している限り、
世界にはびこる悲劇を払拭ために、私は従うことができるだろうか・・・

世界にはびこる悲劇。
これはきっと色々な思いが込められているのではないだろうか。
レコーディングのタイミングがいつかは分からないので、これは聞く人の取り方一つだろうが、コロナウイルス、アメリカを端に一気に表面化した人種差別問題、実際に起きている紛争、そしてチベットの現状。

1トラック目に、英語のメッセージを置くことでこのアルバムを、ダライ・ラマという存在を、そしてチベットを、ワールドワイドな方向に矢印を向かわせたのだ。

そして5トラック目では、世界的に有名なシタール奏者、アヌーシュカ・シャンカールとコラボレーションしている。このトラックでもダライ・ラマは英語での語りとなっている。アヌーシュカは、シンガーのノラ・ジョーンズの異母妹でもあることで世界的に知られているアーティストだ。そんな彼女とのコラボで、再び英語で語ることで、2〜4トラックのチベット語であろうか、その言語を知らないと意味までは分からないという流れをもう一度引き戻す。

そして10トラック目の「Children」は、とてもわかりやすい英語で語られている。まさに世界中の子供たちに向けて、優しく語るかのごとく。この曲のトラックも、それまでのものとはテイストが変わり、とても明るい、未来に向けてダライ・ラマが語っていることがわかる。

未来の世代。可能性は変えることができる。若い世代、子供たちは多くの「機会」を持っていると同時に、責任も負っている・・・

これは、子供たちを見守る、我々大人こそが受け止めなければならない2分30秒なのかもしれない。

そして、最後に「Humanity」・・・人間性というタイトルのメッセージで終わっている。

この世界には数々の宗教がある。著者は特定の宗教・宗派を信仰していないので、大それたことは言えないが、時に宗教は人と人とが争う原因にもなってしまうのだろう。しかし、そもそも宗教というのは、誰しもが抱える「救われたい」という願いのもと、信じ、すがるものなのだろう。そこには、「争い」ではない、知識や理解、愛、といったものが語られているはずだ。日本には古来より「八百万の神」・・・万物に神が宿る、という考えがあるが、これもまた一つの宗教だろう。やはりそこには、自然に対する昔の日本人の愛があったのだろう。

ラストの「Humanity」では、ダライ・ラマもきっといるのだろう、ラマたちが朗々とした唄声で読経する声も収録されている。何を言っているのが、理解できないのだが、不思議と心が落ち着くのはなぜだろう。

(NO.16編集部)

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