強すぎるメッセージを歌う英国ティーン!Declan McKenna(デクラン・マッケンナ)君の魅力を語る
イギリス出身のアーティスト、Declan McKenna(デクラン・マッケンナ)の新譜「The Kids Don’t Wanna Come Home」が発表されましたね。
5枚目のシングルとなる同作。相変わらず、ティーンエイジャーらしくもティーンエイジャーとは思えないメッセージ性の強い歌です。
和訳と解説:Declan McKenna – The Kids Don’t Wanna Come Home
「The Kids Don’t Wanna Come Home」=「子どもたちは家に帰りたくない」と、直訳すると社会に適合できない家出少年の歌かと思いますが、そこはデクラン君、そんな陳腐な意味では終わらせません。
この曲最大のメッセージは「ミレニアル世代の不満」でしょう。ここでいう「Home」はイギリスという国そのもののことでしょうね。MVで若者たちが語る不満は、「お母さんがうるさくて…」などという事柄ではなく、人種差別や同性愛嫌悪など、大人たちが持つ古い社会的価値観についてです。
ミュージックビデオの中では戦争や人権運動のデモなど、意味ありげな動画の挿入とともに、デクラン君が様々な肌の色の子どもたちと行進していきます。大人たちが作り上げた「ホーム」に戻りたくない…これは保守的な思想に戻りたくないという風にも聞き取れます。
「大人たちは子どもたちを不信と狼狽だらけにして殺している」とか「銃をもった子どもたちに文句をいう近所の住人は彼らがどこから来たのか知らない」など、大人たちの「無知さ」や「他社を理解することへの怠慢」を強烈にディスったフレーズが歌詞の中でエッジをきかせています。
Declan McKenna(デクラン・マッケンナ)のバイオグラフィー&魅力
デクラン君は1998年12月24日生まれの18歳。イギリスのハートフォードシャー(高級住宅街のある地域として有名)出身です。
進学校で大学受験勉強とともに音楽活動をしていた2015年・16歳のときに、イギリスを代表する野外フェス「グラストンベリー・フェスティバル」の新人アーティスト発掘コンペにエントリーし、優勝します。賞金5千ユーロと同フェスの出演権、そして40社にも及ぶレコード会社からの契約オファーを獲得し、大手コロムビアレコードからデビューします。
同年2015年にリリースされたデビューシングルのタイトルは「Brazil」。
2014年のリリースなら納得のタイトルですが、なぜ2015年に…?と思ったら、2015年に大きな問題となったFIFAの一連の汚職問題を歌った曲なんですね。オルタナティヴ感のあるエレキギターのリフが効いた曲調はブラジルの民族音楽要素が皆無で、「ブラジル以外では美しいサッカーの試合が見られたのに」などという強烈な一節が光る一曲です。
その後リリースしたセカンドシングル「Paracetamol」も、15歳のトランスジェンダーを描写し応援しながらも、(トランスを認めない)世の中に対する強烈なディスも忘れていないメッセージ性の強い曲です。
デクラン君の書く歌詞はいずれもティーンの所業とは思えない作品たちです。ミレニアル世代らしいメッセージながらも大人・社会への攻撃性が強すぎて、しかもそれが的を射ているのが素晴らしいと思います。
強いメッセージ性をもちながら、絶妙な比喩表現を使って表面上はマイルドになっている歌詞と、新時代のオルタナティヴ・ロックを感じさせるお洒落なサウンドは実にキャッチーでもあり、イギリス国内外で人気が急上昇している理由も納得です。
今年2017年は最後の10代となるデクラン・マッケンナ君。今後はティーンの代弁者からどのように成長していくのか。注目です。