フレンチ・トロピカルハウスの超ホープ!Petit Biscuit/プチ・ビスケットの魅力を語る
次世代の海外アーティストをフィーチャーする連載。今回は、フランスのルーアン出身のDJ・音楽プロデューサー、Petit Biscuit(プチ・ビスケット)の略歴を紹介するとともに、その魅力に迫ります。
生のギターとハウス・ミュージックを合わせた作品を手がけているPetit Biscuit。インストゥルメンタルの曲ながら、彼のYouTube上の動画は数百万回再生以上、中には3000万回以上の再生回数を得ている作品もあります。
1999年11月10日にフランスのルーアンで生まれたPetit Biscuit。本名はMehdi Benjelloun(メディ・ベンジェルーン)で、Petit Biscuit(小さなビスケット)という芸名は彼の控えめで単純な性格を表現しているものなのだとか。おまけに可愛らしいネーミングも彼のキュートなルックスに合っている気がします。
5歳でチェロを習い始め、クラシック音楽のを勉強するためにコンセルヴァトワール(フランスの芸術系学校)に入学しますが、11歳のときにはじめてパソコンを買ったことでDTM(デスクトップミュージック)のとりこになります。
特に編曲・ミキシングに秀で、Petit Biscuit自身が作ったトラックを切り貼りしたり、複雑なボーカル音源を巧みに組み合わせることが初めから得意だったそうです。生来のDJの才能ですね。
SoundCloudやYouTubeで作品の投稿を始めるとたちまち多くのファンを獲得し、わずか16歳で自身の名を冠したファーストアルバム「Petit Biscuit」をEPとしてリリースします。
どの作品も本当に完成度が高くて、自主レーベルで16歳が作ったとは思えません。しかも、世界が注目する有名人になり忙しい身となった現在も普通に高校に通い、オフの時間で音楽活動をこなしているそう。何という素晴らしい姿勢でしょうか…!これからの活躍に期待が溢れすぎるDJの一人ですね。
代表曲「Sunset Lover」とともに見るPetit Biscuitの世界観
YouTube上で総再生回数3千万回以上を記録しているPetit Biscuitの代表曲「Sunset Lover」
Sunset Lover(日の入りを愛する者)というタイトルは、ミュージックビデオの物語から察するに、夜になって彼が普通の高校生である「Mehdi」からDJ「Petit Biscuit」になる喜びを表現しているのでしょうね。
インストゥルメンタルの曲ながら数千万回の再生回数を稼ぐだけあり何とも聞き心地のいい、穏やかながら気持ちが高揚する曲ですね。洗練されたシンセの音と小粋なエレキギターの音色が耳に幸福感をもたらします。
変ホ短調。D♯→F→F♯→A♯→B→C♯のベースラインに、D♯m→B→D♯m→F♯→B→C♯のコードが乗っかりリフを構成しています。リフを繰り返し聞いているうちに「F♯」がリフの始めかと思えてきますが、そうじゃないのがこの曲のポイントでしょうか。リフの単純さを巧みに使った意外性を仕掛けられた気分です。
ミュージックビデオではティーンらしく可愛らしい表情・笑顔を見せているPetit Biscuit。青春期らしいお肌ですが、インスタグラムなどを見るとコンプレックスに思っているように見えます。大人になれば何とかなるからとアドバイスを送ってあげたくなります。
曲作りの才能は言わずもがな、お顔もいいですし、何より若い。Petit Biscuitがフランス音楽界の次世代のスターになることは間違いないでしょう。