<特集 – 故郷に帰る曲>
例年であれば夏休みシーズン。実家に帰省する計画を立てたりする季節ですが、県をまたいでの移動が解禁されているとはいえ、今年は新型コロナウイルスの影響で、実家への帰省も躊躇される方も多いのではないかと思います。
今週は、故郷に帰る曲、故郷に想いを馳せる曲を特集。
Take Me Home,Country Road
Take Me Home,Country Road John Denver
故郷に帰る曲、としてまず思い浮かぶのはやはりこの曲ではないだろうか。1971年にジョン・デンバーが発表した楽曲で、ソングライターの1人、タフィー・ナイバートが実家に旅をして家族と再会したという体験をもとに、曲の原案が作られたそう。ウエストバージニア、ブルーリッジ山脈、シェナンドー川など、地名や固有名詞がいくつも出てくる。スタジオジブリ作品「耳をすませば」の中で日本語の訳がつけられて歌われている。この日本語歌詞は、映画のプロデューサー、鈴木敏夫さんの娘さんと、宮崎駿さんによって書かれている。また、去年のラグビーワールドカップで、日本代表が「ビクトリロード」という替え歌をチームソングにしていたことも記憶に新しい。
Georgia On My Mind
Georgia On My Mind Ray Charles
R&B、ソウルミュージックの父、とも言われるシンガー。オリジナルの楽曲は1930年に作られ、ジャズ、ブルースのスタンダードとして知られるようになった。多くのアーティストによって演奏、歌唱されてきたが、最も知られているのが1960年のレイ・チャールズのバージョンだろう。邦題は「我が心のジョージア」として知られ、レイ自身もジョージア州出身。歌の中で「この道は私をジョージアへの帰路に導いている」と歌われている。
Empire State Of Mind
Empire State Of Mind Jay-Z feat.Alicia Keys
「今はトライベッカに住んでるが、昔はブルックリンに住んでた」というリリックで始まるこの曲は、Jay-Zが2009年にリリースして大ヒットさせた1曲。トライベッカはマンハッタンにあるので、ブルックリンも含めてニューヨークなのだが、マンハッタンが中心的な場所とすれば、どちらかというとおしゃれなレストランやギャラリーがある、アートよりな地区がブルックリンと言えるかもしれない。つまり、Jay-Zは成功して手広くビジネスを手がけるためにもマンハッタンに移ったが、地元であるブルックリンのことは忘れてないぜ、と歌っている。なお、このアンサーソングとして、アリシア・キーズがJay-Zをフィーチャーした「Empire State Of Mind part.2」を発表している。
Back In The USA
Back In The USA Chuck Berry
ロックンロールの創始者の1人、チャック・ベリーが1959年にリリースしたナンバー。「今日は気分がいい。俺たちは空港に着陸して、アメリカに戻ってきた。」という歌い出しで始まる。当時、ツアーで世界を回っていたであろうチャック・ベリーにとって、やはり一番落ち着けるのは祖国であるアメリカだったのかもしれない。歌のラストでは「Yes, I’m so glad I’m livin’ in the USA」と歌っている。後年、この曲はリンダ・ロンシュタットもカバーしている。
California Dreamin’
California Dreamin’ The Mamas & The Papas
彼らの代表曲の1つで、1965年にリリースされた。これはメンバーのジョンとミシェルのフィリップス夫妻がニューヨークに住んでいた時の経験をもとに書かれている。木々の葉が茶色に染まり、空がグレーになる冬のニューヨーク。その寒さを肌で感じた時、故郷のカリフォルニアを思い出す、という歌詞だ。
60年代近辺の楽曲には、土地のことを歌ったご当地ソングが多いように感じる。現代より交通網の整備が進んでおらず、長距離の移動もそう簡単にはできなかった時代だからこそ、故郷に想いを馳せる楽曲が数多く生まれたのかもしれない。