母国アイルランドでは、デビュー以降リリースしたすべてのアルバムが公式チャート1位を獲得し、アリーナ・クラスのツアー・バンドまでに成長するなど、アイルランドの国民的ロック・バンドとして確固たる地位を築いている美メロ・オルタナバンド=コーダライン(KODALINE)。ここ日本でも、代表曲「オール・アイ・ウォント」が大ヒットし、夏フェス含め幾度の来日経験を経て、今やコアなファンベース中心に根強い人気を誇る、そんな若き4人組が最新アルバム『ポリティックス・オブ・リヴィング』をひっさげ、約4年ぶりとなる単独来日公演ツアーをスタートさせた。
(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
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(Photo: Masanori Naruse)
ソールドアウトとなった3/13の東京/渋谷WWW Xでは、来日を待ちわびた大勢のファンが会場を埋め尽くし、バンドは最新アルバムからはもちろん、「オール・アイ・ウォント」や「ハイ・ホープス」などの代表曲など、新旧織り交ぜたパワフルなセットを披露。久々の日本で、会場は鳴り止まない大歓声と熱狂の連続となった。
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<コーダライン: 来日公演ライヴ・レポート>
2019年3月13日(水)
渋谷WWW X
3月13日、渋谷のWWW Xで行なわれたコーダラインの東京公演を端的に評するとしたら、セント・パトリックス・デイを前倒ししたアイリッシュ・シンガロング・パーティー、と形容するのが手っ取り早いのかもしれない。そのただならない盛り上がりは、2015年のサマーソニック以来の久しぶりの来日だったことにも理由があるのだろう。見事ソールドアウトとなり、東京在住もしくは訪問中のアイルランド人を多数含んでいたとみられる、賑やかなオーディエンスで超満員の会場は、昨年発表したサード『ポリティックス・オブ・リヴィング』のオープニング曲『フォロー・ユア・ファイア』で幕を開けた途端に、大合唱に包まれた。以後ダブリンからやって来た4人組は、3枚のアルバムをバランス良く網羅する16曲・90分のセットを披露。一緒に歌わずにはいられない人懐っこいメロディと、静と動のコントラストに貫かれた、エモーショナルなアンセムの数々の魅力を存分に見せつけるショウだった。
そんな中でも特に印象的だったのは、中盤の3曲だろうか。まず、結婚する友人へのプレゼントとして綴ったという『ザ・ワン』をヴォーカルのスティーヴが弾き語りで聴かせ、次に、亡くなったファンに捧げた『エンジェル』を配置し、喜びと悲しみを鮮烈に対比させた4人。続いては、アルバムと同様にアカペラに近いアレンジで『アイ・ウドゥント・ビー』をプレイし、美しく力強いハーモニーで、メンバーの絆や望郷の念といったテーマを描き出すのだった。
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(Photo: Masanori Naruse)
さらに終盤はアップビートに転じて、ゲスト参加したカイゴのヒット曲『レイジング』のコーダライン版も登場。『ラヴ・ウィル・セット・ユー・フリー』で一旦セットを締め括るのだが、バンドがステージから姿を消しても合唱は止まず、4人が根負けする形でアンコールに突入。残るは、誰もが心待ちにしていた、デビュー作『イン・ア・パーフェクト・ワールド』からの大ヒット・シングル、『オール・アイ・ウォント』と『ハイ・ホープス』だ。ちなみに、終始MCは控えめだった彼ら、最後に翻訳アプリを介して日本語で挨拶するという斬新な手段を取った。「心からお礼を申し上げます」などとやたら丁寧な文言は、誠実な姿勢を音楽と向き合い、1曲1曲じっくりと最高の形で聴かせてくれた4人に妙に似合っていた。 (文: 新谷洋子)
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現在、期間限定でこの渋谷WWW Xでの公演のセットリストがプレイリストで公開されている。
◆ コーダライン来日公演セットリスト・プレイリスト
スノウ・パトロールの一員であり、近年はソングライター/プロデューサーとして、エド・シーラン、ラグンボーン・マンやショーン・メンデスの大ヒット作品の立役者として名を馳せているジョニー・マクデイドや、四半世紀のキャリアを誇り、ヒット曲の数々を世に送り出しているスティーヴ・マック(クリーン・バンディット、P!NK)など、世界的な豪華プロデューサー陣を迎えて制作された最新アルバム『ポリティックス・オブ・リヴィング』は、ダンスポップやヒップホップ影響下のビートを大胆に取り入れつつ、コーダライン節ともいえる繊細で叙情的なメロディに一段と磨きがかかった傑作アルバムとなっている。また、国内盤には、配信のみでリリースされていた『アイ・ウドゥント・ビーEP』から「レディ・トゥ・チェンジ」、「ザ・リドル」、「ブラッド・アンド・ボーンズ」の3曲が追加収録されている。
◆ 作品情報
KODALINE | コーダライン
最新アルバム
「Politics of Living | ポリティックス・オブ・リヴィング」
● 品番:SICP-5658
● 価格:2,200円+税
● 国内盤ボーナス・トラック収録
● 歌詞・対訳・解説付き
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【トラックリスト】
01. フォロー・ユア・ファイア
02. ハイド・アンド・シーク
03. エンジェル
04. ワース・イット
05. シェド・ア・ティアー
06. ヘッド・ヘルド・ハイ
07. ボーン・アゲイン
08. アイ・ウドゥント・ビー
09. ドント・カム・アラウンド
10. ブラザー
11. ヘル・フローズ・オーヴァー
12. テンプル・バー
国内盤ボーナス・トラック
13. レディ・トゥ・チェンジ
14. ザ・リドル
15. ブラッド・アンド・ボーンズ