イギリスから爽やかな風が届いたようだ。ゆったりとしたイントロから、タイトルチューンのイントロが流れた瞬間、多幸感が溢れる。まるで2015年、LAのバンドFidlarの「West Coast」を聞いた時のような胸が熱くなるような感覚を覚えた。
スコットランド、エディンバラ出身のインディー・ロックバンド、Vistasのデビューアルバム「Everything Changes in the End」を聞いた際の印象だ。昨今は、インディー・ロックといっても、The 1975などに代表されるようにポップ寄りのサウンドが王道となってきている中で、久しぶりにギターを前面に押し出したバンドに自分の耳が止まった。
正式なメンバーとしては、ヴォーカルのPrentice Robertson、ギターのDylan Rush、ベースのJamie Law(彼はパッと見、休日課長のようにも見える)の3人がクレジットされている。
Circa Wavesや初期DMA’Sを彷彿とさせる瑞々しいギターサウンドがメインだが、所々にデジタル処理された音が入っているあたりは、さすが2020年のバンドだな、と感じる。聞き方によっては、MGMTやFoster The Peoeple、果てはThe Strokesといった2000年〜2010年代に活躍したバンドのテイストも感じられる。メンバーの年代がちょっとわからないのだが、幼少時代に聞いていたと言うこともあるだろう。
彼らの最大の特徴は、メロディ・センスではないだろうか?メジャー調の曲がほとんどなのだが、メロディーのキャッチーさは最近のバンドの中では群を抜いているように感じる。
基本的にアップテンポの曲がほとんどだが「Summer」のように、ミドルテンポで聴かせる曲では、シンプルながらも楽曲を支えるギターのフレーズも耳にしっかり残る。
ギターの音にはどこかグランジの影響も感じさせる部分もある(結局、あらゆるバンドサウンドを取り込んでいると言うこと)ので、今後、どのように進化していくのかも楽しみなバンドだ。
ギターサウンドに餓えていた!と言うかたは、一聴してみてはいかがだろう。
Everything Changes in the End / Vistas
Retrospect Records
https://vistasmusic.com/
(NO.16編集部)