(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
6月19日に先行発売となったボブ・ディラン(Bob Dylan)の輸入盤CD並びに配信による『ラフ&ロウディ・ウェイズ』。既に各国からのレビューのほとんどがファイヴ・スターの高評価を得て話題を呼んでいるが、収録曲「偽預言者」のリリック・ビデオが公開となった。
「偽預言者」 リリック・ビデオ
◆ 萩原健太氏による解説(日本盤に収録)から
「偽預言者」
黒人R&B/ロックンロール・シンガー、ビリー“ザ・キッド”エマーソンが1954年、メンフィスのサン・レコードに残した「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」という強烈なブルース・チューンを原型とするディラン作品だ。これもアルバムに先駆け5月8日に先行公開された。ディランはC→FとF→B♭を繰り返す「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」の基本的なコード展開と、アイク・ターナーによる元祖ヘヴィ・メタルとでも言うべきギター・リフとをほぼそのまま流用している。が、一般的な12小節のブルース様式に則ったビリー“ザ・キッド”エマーソンのヴァージョンに対して、ディランのほうは4拍子×7+2拍子×1+4拍子×2の10小節形式。ちょっと変則的な構成でありがちなブルース様式に新鮮な感触を呼び込んでいる。
と、そんなふうに「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」に強く影響された楽曲ではあるが、そこはディラン、歌詞の内容はまるで違う。エマーソンのほうは愛を歌っているのだけれど、ディランは強烈。“俺は裏切りの敵。争いの敵。罪滅ぼしのための無意味な人生の敵…”と、シニカルに達観を綴ったかと思えば、“誰にも負けない、俺は最上の人間の最後のひとりだ。他のやつらは埋めてしまえ”と、とんでもないことを自慢げに吼えてみたり。その不敵さときたら。たまらない。「ハロー・メリー・ルー」(リッキー・ネルソン)、「オンリー・ザ・ロンリー」(ロイ・オービソン)、「ハロー・ストレンジャー」(バーバラ・ルイス)といったポップ・ヒットのタイトルが歌詞に見え隠れしているところも、また気になるポイントだ。
そして、何よりも。バンドのタフなグルーヴに耳がそばだつ。すごいバンドに成長したものだ。
7月8日にリリースが予定されている日本盤には、菅野ヘッケル氏、萩原健太氏による計2万字解説、中川五郎氏の歌詞・対訳をまとめた52ページのブックレットが付属される。加えて、購入者の中から抽選にて、「ボブ・ディラン直筆サイン」が入ったロビーカードが1名様にプレゼントされる。またLP盤(輸入のみ)の発売は7月17日の予定でイエロー、オリーブ、ブラックの3色のヴァイナル盤が用意されている。
◆ リリース情報
ボブ・ディラン 『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
Bob Dylan – Rough And Rowdy Ways
● 発売日:2020年7月8日
● 品番:SICP6341-2(CD2枚組)
● 価格:¥3,000+税
● E式W紙ジャケット
● 解説・歌詞・対訳付
<トラックリスト>
● DISC ONE
1.アイ・コンテイン・マルチチュード
2.偽預言者
3.マイ・オウン・ヴァージョン・オブ・ユー
4.あなたに我が身を
5.ブラック・ライダー
6.グッバイ・ジミー・リード
7.マザー・オブ・ミューズ
8.クロッシング・ザ・ルビコン
9.キーウェスト(フィロソファー・パイレート)
● DISC TWO
1.最も卑劣な殺人