<特集 – HIP HOP SOUL>
近年、ヒップホップとソウルミュージックの明確な垣根といのはかなり消えつつある。現在ではドレイクのように、歌うようなラップ、というスタイルがかなり浸透したが、1990年代にHIP HOP風のトラックでソウルを歌うという、
HIP HOP SOULというスタイルが生まれた。今週はそんなHIP HOP SOULを特集。
クイーン・オブ・ヒップ・ホップ・ソウル
FAMILY AFFAIR MARY J.BLIGE
クイーン・オブ・ヒップ・ホップ・ソウル、とも呼ばれ、まさにHIP HOP SOULを象徴するアーティストの1人。デビューは1992年で、デビューアルバムからして、P.Diddyがプロデュースを担当していることから、HIP HOPとの距離感の近さが見て取れる。代表曲のひとつ「Real Love」も、サンプリングを駆使したトラックで、HIP HOP的なアプローチの楽曲だ。一方で、そのソウルフルな歌からチャカ・カーンやアレサ・フランクリンなどとも比較されるなど、歌唱力も評価が高いアーティスト。そんな彼女が2001年にリリースしたアルバム「No More Drama」からの1stシングルは、ドクター・ドレーがプロデュースを担当した「Family Affair」だ。ラップ用に作られたのではないかと思うほどシンプルなトラックに乗せた歌で、全米シングルチャート6週連続1位を獲得した。
若くして亡くなった歌姫
MORE THAN A WOMAN AALIYAH
6歳から子役として舞台に立ち、1994年に15歳とい若さでレコードデビューを果たした逸材。透き通るような歌声でリスナーを魅了したが、当時15歳だったにも関わらず、18歳と年齢を詐称し、プロデューサーのR.Kellyと婚姻届を出すなど、スキャンダラスな面でも注目を浴びてしまった。シンガーとしてだけでなく、俳優としても活躍を始めていたが、2001年に飛行機事故で帰らぬ人となってしまった。この「More Than A Woman」は、ティンバランドがプロデュースしており、こちらもサンプリングを活用した印象的なフレーズがループするトラックに乗せて、歌っている。
NEW KING OF POP
U DON’T HAVE TO CALL USHER
1994年にデビューを果たしたアッシャー。1997年にリリースしたアルバム「My Way」でブレイク。当時、「New King Of Pop」とまで言われた。その名の通り、歌だけでなくダンスでも魅了できるアーティストだ。そんなアッシャーが2001年にリリースした「U Don’t Have To Call」は、ファレル・ウイリアムス率いるネプチューンズによるプロデュースの楽曲。この曲が収録されたアルバム以降、アッシャーは、よりHIP HOP色が強くなっていく傾向となっていく。
NASとのコラボで頭角
1 THING AMERIE
2001年に、ラッパーのNasのアルバム「Stillmatic」に収録された楽曲「Rule」(Tears For Fearsの「Everybody Wants To Rile The World」を大胆にサンプリングしたヒット曲)で、フィーチャリング され、「これ誰?」という感じで注目され始める。翌年には自分のデビューアルバムをリリースするに至った。彼女にとって大ヒットとなったのは2005年の「1 Thing」だろう。彼女をデビューに導いたプロデューサー、リッチ・ハリソンの手によるトラックで、ミーターズの楽曲をサンプリングしている。リッチ・ハリソンはジェニファー・ロペスの「Get Right 」なども手がけた名プロデューサーでもある。乾いたスネアが特徴的なトラックに、エイメリーの少しハスキーな声が跳ねる、名曲だ。
デスチャ
BOOTILICIOUS DESTINY’S CHILD
デスチャ。解散からすでに15年がたったが、このグループのメインを取っていたのが、ビヨンセだ。ビヨンセのソロ作品でももちろんHIP HOP SOULな楽曲はあるが、時代的にもよりHIP HOP SOULよりのサウンドが楽しめるのがデスチャかもしれない。この曲はスティーヴィー・ニックスの「Edge Of Seventeen」をサンプリングしており、ビヨンセ自身がプロデュースを行っている。ビヨンセ自身はこの曲について「パーティ・ソングね」と語っていた。
なお、2013年のスーパーボウルのハーフタイムショウで、1日限りの再結成が実現した。また、去年の8月に、2020年は再結成ツアーを行うことがアナウンスされていたが、新型コロナウイルスの影響で、今後実現するかは不透明だ。