<特集 – メッセージ性のない曲>
音楽はそのメロディやアレンジ、歌詞や演奏など、あらゆるところに作り手、プレイヤーの「メッセージ」が込められていると思うが、一聴しただけではそういったメッセージが伝わってこなかったり、理解しにくい楽曲というのも存在している。今回はそんな楽曲を特集。
アルコール依存症
BORN SLIPPY(NUXX) UNDERWORLD
イギリスが誇るエレクトロ・ユニット、アンダーワールドの代表曲にしてヒット曲。映画「トレインスポッティング」でも使われた曲だ。ただ、この曲の歌詞は、非常に難解。それもそのはずで、この曲が作られた当時、カール・ハイドはアルコール依存症の状態で、その状態での可能性を探るべくロンドンのウェストエンドに入り浸っていたときのことを歌っているんだとか。かなり現実と幻覚が錯綜したような、トランス状態の楽曲だ。
パロディの帝王
SMELLS LIKE NIRVANA “WEIRD AL” YANCOVIC
タイトルからもわかるように、NIRVANAの「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」のパロディ・ソングである。パロディの第一人者として、マイケル・ジャクソンの「Beat It」のパロディ「East It」などで知られている。これまで3枚のアルバムでグラミー賞を受賞しているアーティストでもある。この曲は1992年にリリースされており、「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」が何について歌っているのかさっぱりわからない・・・と歌っているだけのパロディである。MVもしっかりパロディしているのでチエックしてほしい。
スキャット
CONCERTO POUR UNE VOIX SAINT-PREUX
ダバダ〜♪のフレーズは、今でもテレビ番組などでアクセントの強いBGMとして使われているので、聞いたことがあるという方も多いのではないだろうか。。サン・プルーのこの曲は、邦題は「ふたりの天使」というタイトルがつけられているが、直訳すると「ひとつの声のための協奏曲」となり、「ダバダー」のスキャットのみで進行するため、歌詞もなく、果たしてどんな想いが込められているのかは、わからない。逆に状況に応じて、聴き手が想像を膨らませて聞く、という楽しみ方がいいのかもしれない。なお、この曲はいろんなアーティストがカバーしており、歌詞がつけられいるものもある。
難解
BY THE WAY RED HOT CHILI PEPPERS
昨年末、ギタリストのジョン・フルシアンテが復帰して、全盛期のメンバーが再び揃ったレッチリ。ヴォーカルのアンソニー・キーディスはメロディとラップを使い分け、スラングや関連性の感じられない言葉を並べたりすることで、難解な歌詞になることが多い。彼らの2002年のヒットシングル「BY THE WAY」も大ヒットした楽曲だが、歌やラップももはや楽器の一部としてのアンサンブルに聞こえてくる。その歌詞は非常に難解である。果たしてアンソニーがどんなメッセージを込めているのかは、それぞれが想像して行くしかないだろう。
ダンスミュージック
MUSIQUE DAFT PUNK
ダンスミュージック、というのは、その音に身を任せ、自然とカラダが動いて行く音楽だ。しばしば歌詞もなく、シンプルなループの構成となることもあるダンスミュージックには、メッセージというよりは機能性が求められる音楽なのかもしれない。
「One More Time」や「Get Lucky」といった歌詞のある楽曲ももちろんヒットさせているダフト・パンクだが、初期の彼らのサウンドは、プリミティブなダンスミュージックを志向していたことがうかがえる。1995年にリリースされた「Da Funk」のBサイドとして収録されていたこの曲は7分近い尺がありながら、ほぼ展開がないシンプルなダンス・ミュージックだ。まさに機能性を追求した楽曲の1つと言えるかもしれない。