<特集 – ターンテーブルのスクラッチを利用した曲>
DJのテクニックの一つがレコードを擦って、スクラッチ音を出し、さながら楽器のようにアレンジの一つとして加えてしまう。そんなスクラッチを利用した曲を特集。
ジャズ
ROCK IT HERBIE HANCOCK
スクラッチ音を使った曲の代表の一つがこの曲ではないだろうか。もう、曲のど頭からスクラッチで始まる。言わずと知れたジャズ・ピアニストであるハービー・ハンコックだが、1983年のアルバム「フューチャー・ショック」では、HIP HOPを取り入れ、大胆なサウンドを構築した。MVもかなりディストピア感が出ている。かつてはマイルス・デイビスのクインテットのメンバーとしても活動しており、こうした斬新なサウンドアプローチは、刺激的なメンバーに囲まれていたという彼の経歴もあったのかもしれない。
MVは新宿
INTERGALACTIC BEASTIE BOYS
Hip Hopのレジェンドユニットの一つ、ビースティーボーイズの1998年の楽曲。日本で撮影されたMVも話題になった曲。もともとロック色の強いバンドだったが、この曲も収録されたアルバム「ハロー・ナスティー」から、よりHIP HOP色を濃くするようになっていった。スクラッチが主張するわけでもなく、要所要所に入っていて、よりバンドアンサンブルに馴染んでいるようにも聞こえる。
ラップロック
DON’T MEAN A THING BORIALIS
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやリンキン・パーク、ラップ・ロックが90年代半ばに全盛を迎え、2000年代初頭まで続いた。その後半に登場したのがボリアリスというバンド。メンバーにターンテーブルを要するバンドで、
イントロからこれでもかと言わんばかりにスクラッチをかましてくれる。今聞くと、そこそこキャッチーだが、残念ながら、ヒットに恵まれなかった。
メンバーにDJ
PARDON ME INCUBUS
90年代から活動しているバンドで、当初はラップメタルを志向していたが、徐々にエモーショナルなメロディを歌うようになっていった。ただ、DJは引き続きバンドに在籍している。実際、こういったミクスチャースタイルのバンドは、かなり少なくなったように思うが、インキュバスはいまだに我が道を突き進んでいる。数少ないバンドかもしれない。このまま突き進んで欲しいものである。
ヒップホップ
OUT OF SIGHT feat.2 CHAINZ RUN THE JEWELS
キラー・マイクとエルPの2人からなるヒップホップ・ユニット。政治的な発言だったり、最新アルバムはまさかの無料配信まで行うという、いろいろな側面から注目を集めているヒップホップ・ユニットだ。メインのラップまでスクラッチされていることから、ボイス・エフェクトの一つとしてのスクラッチを取り入れているようだ。ここ最近は、「ユニット」、という形を取らずにソロで活動してヒットを生み出すラッパーが増えたように思う。そういったことも含めて、かつてはラップミュージックでよく聞いたスクラッチ音も、最近はそんなに耳にすることは多くないのかもしれない。