<特集 – ミクスチャーミュージック>
AOR。日本では「Adult Oriented Rock」の頭文字を取ったジャンルとして知られている。つまり「大人向けのロック」と言う、かなりあやふやな意味で用いられている。音楽性が近いジャンルとしては、ヨット・ロックやあダルト・コンテンポラリーなどが挙げられていて、雰囲気としては日本のシティ・ポップに近いサウンドとも言えるかもしれない。今回は、現代風なAOR風サウンドを探してみた。
マルチ・プレイヤー
SEND MY LOVE JORADN RAKEI
オーストラリア出身でロンドンを拠点に活動しているジョーダン・ラカイは、マルチ・インストゥルメンタリストとしても評価されているマルチ・プレイヤー。柔らかい歌声と、程よく重過ぎず、シンセサイザーを交えた気持ちのいいトラックは、まさにAORの進化形とも言えるかもしれない。
オランダ
DANCING IN THE DARK BENNY SINGS
ウーター・へメルやジョヴァンカといったシンガーを送り出したプロデューサーとしても知られているオランダのシンガーソングライター、ベニー・シングス。彼の新曲「Dancing In The Dark」は、海沿いのドライブにもぴったりと合いそうな、ストリングスこそ入っていないが、ボズ・スキャッグスのような気持ちよさがある。どちらかというと、日本のシティポップに近いものがあるかもしれない。
ギターもAOR風
LOST IN PARIS TOM MISCH
2018年にデビューしたイギリスのシンガーソングライター、トム・ミッシュは、ギタリストとしても評価されており、この曲でも存分にそのギターを聴かせてくれている。また、この曲ではピアノや、トランペットなども加わり、ロックとジャズとポップスが程よくブレンドされたかつてのAORを彷彿とさせる。
これぞAOR
FAST ENOUGH OLE BØRUD
オーレ・ブールードは、ノルウェーのシンガーソングライターで、ストレートにAORサウンドを追求し続けているアーティストの1人と言えるかもしれない。この曲でも、ギター、シンセ、ブラスをフィーチャーして、いわゆるソフトロック、アダルト・コンテンポラリー的なサウンド作りをしている。かつてのAORが醸し出す、大人のオシャレなポップ・ロック、といった感じだろうか。
ニュージーランド
HUNNYBEE UNKNOWN MORTAL ORCHESTRA
ニュージーランドのオークランドで結成されたアンノウン・モータル・オーケストラ。ソウルやファンク、ロックとさまざまな要素をミックスしたサウンド。中でもこの「HUNNYBEE」は、AORの雰囲気が聞き取れる。音数も少なく、
シンプルなドラムとベースラインは、そのままAORの名曲、ボズ・スキャッグスの「LOWDOWN」に繋げられそうだ。