日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が進み出し、日々発表される新規感染者数は減少傾向となっている。そんな中で、色々な声がある中、開催されたのがSUPERSONICだ。去年、東京オリンピックの影響でSUMMER SONICの代替イベントとして計画されていたものだ。去年は結局開催を断念し、今年に延期されていた。海外からZEDDやALAN WALKER、STEVE AOKIなどを招聘していて、来日物のフェスとして、日本でもリスタートが切れるのか、注目を集めていた。
日本のコロナ禍のフェスに関しては、今年になって色々な動きがあった。5月にはさいたまスーパーアリーナで「VIVA LA ROCK」が開催された。このフェスの開催は、音楽業界にとってかなり光明になったのではないだろうか。
そして、茨城で毎年開催されていた、日本のアーティストの一大フェス「ROCK IN JAPAN」の開催に関して、直前になって地元医師会から提言が入り、やむなく中止となったのも記憶に新しい。そんな状況の中で東京オリンピックを迎え、国内の感染者も高い水準のまま、フジロックを迎えた。地元のサポートもあり、また、海外からのアーティストは一切参加せず、感染対策をしっかりとした上での開催、となった。
密状態にあった、など、色々と言われる部分はあったものの、概ね安心なフェスが開催できるという一例を作ったと言えたのかもしれない。
しかし、愛知のNAMIMONOGATARIが、少しずつ前向きになっていた音楽/フェス業界をひっくり返すことになってしまった。
こんな流れの中で、SUPERSONICも千葉市や千葉県から、延期や規模縮小といった要請が入るようになってしまったが、フジロックなどからも情報の共有などもあったであろう、感染対策を万全にした上で、開催となった。大きな混乱は今の所、聞こえてこないし、クラスターが発生したというニュースも目にしない。
フェスというイベントであったり、音楽そのものは悪者ではない。それを運営する側が、いかにして極力安全な状況を作るか、そしてオーディエンスもルールに乗っ取った上で楽しめるか、そこが鍵になっている。
ただ、イギリスなどを見てみると、サッカーのEUROなどで多くの観客を入れ開催していたが、その後追跡調査をして、感染者がどれくらい出たのかをちゃんと把握している。これはある意味で社会実験的な意味合いもあって、イギリス政府がコロナ禍でのイベント開催の可否をテストするために分析していたのだ。日本では、政府はイベントに対して補助金を出すだけだった。イギリスのように、国が主体的に追跡調査をするなどしておけば、フジロックも、もしかしたらNAMIMNOGATARIも、「Aだったらこうなる」「Bだったらこうなる」という、比較対象もできたのかもしれない。いべんとは音楽フェスだけではない。今後、さまざまなイベントを開催する際の一つの基準になり得たかもしれないのだ。
SUPERSONICでも、そうした追跡調査をしているという話は聞かない。もちろん、主催するイベント会社単体で、そんな大きな調査はできるわけがない。そこはやはり国が言い方は悪いが、SUPERSONICというイベントを「利用」して色々なデータを得るチャンスだったはずなのだ。それによって、フェスもこうした感染対策をすれば、ここまでの規模は開催可能、というポジティブな光が見え、国としてもデータを使うことで経済を回していく、という何度も聞いた言葉を、現実のものにしていくことも、少しはできかもしれないのだ。
10月1日には、緊急事態宣言が解除される流れになりつつある。
もちろん、解除されたらコロナが消え去るわけではない。良い例も悪い例も、経験として見え始めた光を消さないように育てて行かなければならない。来年こそは、何のバッシングもなく、フジロック、そしてサマーソニックが開催されることを祈っている。
(NO.16編集部)