2月14日(木)の広島公演からスタートし、全国8都市で行われるTOTOのデビュー40周年記念ツアー。2018年の2月にヨーロッパで始まり、アメリカでの大規模なツアーを含め世界を一周。そしてようやくこの2月に日本に上陸するが、そのTOTOは年末年始をオーストラリア~ニュー・ジーランドで過ごし、いろいろなフェスへの出演や単独公演で連日大賑わいを見せている。そしてその最後のショーとなるニュー・ジーランド公演前にスティーヴ・ルカサーが電話インタヴューに応じた。今回のツアーのこと、日本公演の見どころ、グループの歴史の集大成となるボックス・セット『All In』に収められた新曲のことなどを語った。
(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
(Photo: Scott Richie)
************
◆ スティーヴ・ルカサー インタビュー (Interview & Text:中田利樹)
スティーヴ・ルカサー(以下SL):
40周年記念ツアーももう2年目に入っているけれど、とてもファンタスティックだよ。オーストラリアではフェスティヴァルに出て、ジェファーソン・スターシップなんかとも一緒になったけど、どこもこっちが驚くほど熱狂的な賑わいだ。中でも一番嬉しいことの一つは、若い層がたくさんライヴを観に来てくれて、皆がオレたちに大きな興味を持ってくれている、ということだね。ストリーミングも、YouTubeだ、Spotifyだ、いろいろ合わせると10億(回再生)に達するし。バンド自体、この5年で大きくジャンプ・アップしている。
ここに来てさらに新しいキャリアを築いている、そんな気運に乗っているんだ。それも60代になってからだぜ(笑)。夏にやるアメリカのツアーはすでに全てソールド・アウトだし、ブドーカン(日本武道館)も完売だ。とてもエキサイティングな時代で、とにかくバンドが凄いんだ。デイヴ(・ペイチ)の代わりにキーボードを務めるゼイヴィアー(ドミニク・”ザヴィエル”・タプリン)がまた素晴らしいプレイヤーなんだ。以前はプリンスのキーボードをやっていたんだけど(バンド:NPG-Qに参加)、若いのに本当に良いミュージシャンだよ。
今回は昔のレアなレパートリーを入れたり、また、アコースティック・セットも用意しているよ。「40 Trips Tour」、40周年を記念するツアーだから、全てをフレッシュなものに、って考えている。セットリストもずっと同じ、ではなく、少しずつ変えているんだ。
ーー今回のツアーでは1stに入っていた<Angela>、それから<Miss Sun>もやっていますね。その2曲、是非日本でも聴きたいです。
SL:<Angela>か~!(笑) <Miss Sun>はちょっと難しいかな。今回はデヴィッド(・ペイチ)がいないから…。まぁ、その分、新しいものが入るからそれを楽しみにしてほしいな。とにかく曲はたくさんあるし、皆が聴きたい絶対にやらなくてはならない曲もあるけど、
皆を驚かすような曲も考えているから。今までライヴでやっていなかったような曲とか。
ーー海外ではウィーザーの曲をアンコールでやっていたようですね。
SL:ああ、それに関して説明すると、ウィーザーが<Africa>をカヴァーして、それでオレたちのオリジナル版も改めて注目されるようになったんだ。だから、コール&レスポンスで、オレたちが彼らの曲をやるのも面白いんじゃないかと思ったんだ。去年の夏にリンゴ(・スター)とヨーロッパをツアーしていたんだけれど、その時、スティーヴ・ポーカロが教えてくれて、じゃぁ、何かやるか、って話になって彼らの曲をいくつか聴いて、結局<Hash Pipe>をやるのが音楽シーン的に一番だろうなってなったんだ。それで2コードの曲でもオレたち印のスタンプを押したようなものにしようと思い、スティーヴがクールなトラックを作ってくれた。それを(ウィーザーも所属したレコード会社)Universal Republicに渡したんだけれど何の反応もなかったから、じゃぁ自分たちで発表するかってなって。なんのプロモーションもしないで100万回再生されたよ。だから、オレたちは彼らのカヴァーを快く受け入れたんだけれど、彼らはオレたちからの愛情を受け取ってくれなかった。全く良い話じゃないぜ(笑)。
ーー今回の日本公演のメンバーを教えてくれますか?
SL:オレ、スティーヴ・ポーカロ、ジョセフ・ウィリアムス、それから、シェム・ヴォン・シュロック(B, Cho)、ゼイヴィアー(Kb)、レニー・キャストロ(Perc)、シャノン・フォレスト(Ds)、ウォーレン・ハム(Cho, Sax, Flute)だ。
ーーありがとうございます。ベースのシェムはどういう経緯で参加したんですか?
SL:スティーヴ・ポーカロが見つけたんだ。以前はケニー・ロギンスのミュージカル・ディレクターをしていて、スーパー・ハイ・テナー・ヴォイスの持ち主なんだ。ベーシストとして素晴らしく、人間的にもとても良いヤツで、音楽的なバックグラウンドもとても広く、N.Y.でアレンジャーとしても活躍している。今、オレたちにはヤツのようなベーシストが必要だったんだ。
ーー今回のツアーではボックス・セット『All In』に収められた新作『Old Is New』からの曲も数曲披露されていますね。そのアルバムや『Live In Tokyo 1980』をボックスの中の一部だけでなく単体のCDで発表する予定はなかったのですか?
SL:レコード会社の戦略的なこともあるけれど、ボックス・セットは完売してコレクターズ・アイテムになりつつある。それなので、今度は安価で手に入るCD数枚だけ、っていうのも考える時期に来ているのは確かだ。ところで、オレたちミュージシャンに入る金がどれくらいとか考えたことはあるかい? ツアーやグッズはちゃんとした額になるし、ツアーでもしっかりとV.I.P.待遇を受けられるようになった。でも、百万回ストリーミングされたってレコード会社に3,000ドル、ソングライターに3,000ドル、そして他にいくらか払って、タックスを差し引いて、オレに入って来るのは5ドル。これはジョークでも何でもない、本当の数字なんだ。年に200日とかツアーに出ているからファミリーを養うことはできるし、この仕事を愛しているから続けてはいられるけれど、テクノロジーの進歩によって人生が変わり、同じ生活を送るためにはよりハードに働かなくてはならなくなっているよ。
ビジネスそのものが変わってきているから。
ーーそうですね。
SL:若い連中はまた違った捉え方をしているだろうけれど、それだと2年くらいのキャリアで終わってしまうよ。誰もオレたちのような45年のキャリアは築くことはできないだろうな。ガレージ・バンドで即席のソングライターになれて、コンピューターのボタンを押すだけで「オレはプロデューサーだ!」とか言っていられる時代だけど、オレなんかは12歳の時に1日8時間の練習をして今の自分の基礎を作ったんだ(笑)。それに、今、No.1レコードってなんの意味があるんだい?1983年に『TOTO IV』は500万枚のセールスに達したけれど、今はどうだい?2,500枚CDが売れたらNo.1になれるんじゃないか?そんなの全く意味がないよ。オレが若い時はヒットするレコードは1週間に100万枚売れたもんさ。今は1週間で100枚とか当たり前だろ?(笑) ミュージック・ビジネスがそれだけ変化した、ということなんだ。
ーー『Live In Tokyo 1980』は昔からの日本のファンにとって最高のプレゼントになりましたが、5曲だけ、というのが少し残念です。
SL:それしか収録しなかった理由かい?それは他の曲でのヴォーカルと、それからミックスが良くなかったからだよ。それに、オレのギターの弦が切れた曲も1曲あったし。だから、そんな良くないものをアルバムに入れたいとは思うやつはいないだろ。そういうことさ。
ーーでは最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
SL:ハロー、ハロー、親愛なる日本の皆、ルークだよ。長年にわたる応援、本当に心から感謝しているよ。日本には毎年行っているけれど、日本に飛ぶ度に故郷に戻ったような気分になれるんだ。優しい人々、美しい文化、日本に関する全てのことに心を打たれる。かれこれ
43年も近くにいてくれて、本当に光栄に思っている。約束するよ、死ぬまで毎年一度は日本に足を運ぶと。
◆来日公演情報
<TOTO 40 Trips Around The Sun 2019 JAPAN TOUR>
【広島】 2/14(木) 広島文化学園 HBGホール
【金沢】 2/16(土) 金沢歌劇座
【福岡】 2/18(月) 福岡市民会館
【東京】 2/20(水) 日本武道館
【大阪】 2/21(木) 大阪城ホール
【盛岡】 2/23(土) 岩手県民会館
【名古屋】 2/25(月) 名古屋国際会議場センチュリーホール
【仙台】 2/27(水) 仙台サンプラザホール
<関連ニュース>
●TOTO、新曲「DEVIL’S TOWER」のリリック・ビデオを公開