今やヒットチャートを席巻しているのはエレクトロ、ヒップホップ、シティ・ポップ系のサウンドなどがほとんどだ。SpotifyのNEW MUSIC FRIDAYやNEW MUSIC WEDNESDAYに上がってくる新曲(洋楽)で、ロックバンドを探す方が難しいかもしれない。(もちろんタイミングにもよるだろうが。)
これにはテクノロジーの進化や、もちろん世相なども反映しているだろう。例えば、2000年を過ぎたあたりから家庭用のパソコンの低価格が進行し始める。インターネットの普及と同時に一家に一台は存在する家電となった。今ではPCを追い越し、スマホやタブレットでも音楽制作が可能となった。そこにはギターやドラムセット、ベースといった楽器類はおろか、音を出すためのスタジオすら必要としないのだ。シーケンスソフトにはプリセットでいくつものループも存在しており、もしかしたらそれらを組み合わせていくセンスのようなものだけで楽曲制作ができたりするかもしれない。
1950年代、ビートルズがデビューして、ロックバンドの人気が一気に沸騰した。イギリスではビートルズを源流にしたバンドの系譜が脈々と繋がれているだろう。それでも、最近はロックは元気がないように見える。90年代はオアシス、ブラーに代表されるブリットポップ・ムーブメントが起き、多くのバンドがデビューしていった。
しかし、徐々にヒップホップやポップス、そしてEDMが、チャートを賑わすこととなった。ロックファンとしては残念だが、メロディ、リリック、サウンドと、リスナーの心を捉えた結果がチャートにも反映されているのだろう。
とは言っても、ロックが死んだわけではない。ロックが好きな人はもちろん追いかけ続けているだろうし、ジャンルを気にせず聞く人は、その人が「いい」と思える曲があれば素直に聞くだろう。
そして、先日リリースされたAC/DCの最新アルバムも好調な滑り出しを見せたようだ。
また、元気な新人バンドも引き続き誕生している。
考えてみれば、80年代もシンセサウンド全盛となり、ロックはちょっと元気がない時代だったかもしれない。それでも90年〜2000年のブリットポップやガレージリバイバルといったロックが元気になるシーンが生まれたわけだ。
個人的にロックが好き、ということもあるが、これからもいいバンドが登場してくることを期待しているし、叶うならばヒットチャートの上位にバンドが並んで欲しい。そして、デスクトップ・ミュージックももちろんいいのだが、あの、何人かが1箇所に集まって、セーノで音を出す快感をぜひ味わってみて欲しい。きっと病みつきになる人がいるはずだ。
(NO.16編集部)