毎年1月1日に行なわれるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、4億人が視聴するビッグ・イベントである。1939年に始まる75年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、「音楽の都」ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難と言われている。
(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
2018年は、フィラデルフィア管、ミラノ・スカラ座を経て、2010年以来シカゴ響音楽監督をつとめる巨匠リッカルド・ムーティが登場。1993・1997・2000・2004年に次いで14年ぶり5回目の登壇となる。これはマゼール以降、ズービン・メータと並ぶNYC登壇数で、1971年ザルツブルク音楽祭でのドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」での初共演以来、これまでウィーン・フィルを500回以上指揮し、現在最も密接な関係にあるムーティについて、ウィーン・フィル前楽団長アンドレアス・グロスバウアーは、「マエストロ・ムーティの指揮する演奏の極めて高い水準は、ウィーン・フィルの演奏史の中でも特別なもの。マエストロの演奏解釈は楽譜を綿密に研究することで生み出され、われわれウィ-ン・フィルの特別なサウンドを愛して下さっている」と絶賛の言葉を惜しまない。
演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」、「ウィーンの森の物語」、「ラコッツィ行進曲」などに加えて、2018年のさまざまなアニヴァーサリーなどテーマ性を織り込んだ多彩な作品で構成されており、NYC初登場作品も8曲含まれ、新鮮味十分。イタリアの作曲家ロッシーニとヴェルディの歌劇の名旋律を取り入れた「ウィリアム・テル・ギャロップ」と「仮面舞踏会のカドリーユ」や、ヨハン2世の「十大ワルツ」の1曲とも称されるほど人気が高く、イタリアを想起させる「南国のバラ」が取り上げられているのも、もちろんムーティの母国イタリアを慮ってのこと。オーストリア帝国の最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ1世の息子、ルドルフ皇太子の生誕160年を記念して、皇太子の結婚記念にハンガリーの作曲家ツィブルカが作曲した「シュテファニーのガヴォット」が取り上げられているのも珍しい。
ウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート2018」は2018年1月1日にライヴ収録され、CD2枚組で2018年1月24日に発売予定。またDVD・ブルーレイは2月21日に発売が予定されている。
【収録予定曲】
1.喜歌劇「ジプシー男爵」より入場行進曲(ヨハン・シュトラウス2世)
2.ワルツ「ウィーンのフレスコ画」(ヨーゼフ・シュトラウス)★
3.ポルカ「嫁さがし」作品417(ヨハン・シュトラウス2世)★
4.ポルカ・シュネル「浮気心」作品319(ヨハン・シュトラウス2世)
5.「マリアのワルツ」作品212(ヨハン・シュトラウス1世)★
6.「ウィリアム・テル・ギャロップ」作品29b(ヨハン・シュトラウス1世)★
7.喜歌劇「ボッカチオ」序曲(フランツ・フォン・スッペ)★
8.ワルツ「ミルテの花」作品395(ヨハン・シュトラウス2世)★
9.「シュテファニー・ガヴォット」作品312(アルフォンス・ツィブルカ)★
10.ポルカ・シュネル「百発百中」作品326(ヨハン・シュトラウス2世)★
11.ワルツ「ウィーンの森の物語」作品325(ヨハン・シュトラウス2世)
12.祝典行進曲作品452(ヨハン・シュトラウス2世)
13.ポルカ「都会と田舎」作品322(ヨハン・シュトラウス2世)
14.仮面舞踏会のカドリーユ作品272(ヨハン・シュトラウス2世)
15.ワルツ「南国のバラ」作品388(ヨハン・シュトラウス2世)
16.ポルカ・シュネル「短いことづて」作品240
[アンコール]
ワルツ「美しく青きドナウ」作品314(ヨハン・シュトラウス2世)
ラデツキー行進曲作品228(ヨハン・シュトラウス1世) 他
★印:ニューイヤー・コンサート初登場作品
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
[録音]2018年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング