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Celeb News Feature

美しきエレクトロ・ポップ・デュオ=ハーツのライヴ・レポート公開

Hurts


その端正なルックスと耽美なエレクトロニック・サウンドでヨーロッパ全土において絶大な人気を誇る、イギリス・マンチェスター出身の美しきエレクトロ・ポップ・デュオ=ハーツ(Hurts)。約7年ぶりとなる単独来日公演が開催された。

(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)

昨年9月に発表された約2年ぶりのフル・アルバム『デザイア~衝動~』は、メンバー自ら「情熱、苦悩、そして渇望に溢れた今までの作品でベストの一つ」と語っているように、これまでのダークな世界観を踏襲しつつ、プリンスやデヴィッド・ボウイの影響を感じさせる彩り豊かなポップ性と躍動するグルーヴとリズムで、新たなに進化したハーツ・サウンドを提示し、大きな話題を呼んだばかりだ。スイスやチェコ、フィンランドをはじめヨーロッパ各国でTop10入りするなど、既に全欧チャートを席巻している本作を引っさげた一夜限りの来日公演は、1月29日マイナビBLITZ赤坂で開催され、「ビューティフル・ワンズ」や「レディー・トゥー・ゴー」など最新アルバムのヒット・シングルから、過去の代表曲までを織り交ぜたファン感涙のセットが披露され、ハーツの美学と世界観が体現された素晴らしい一夜となった。そんなライヴ・レポートが公開された。

美しきエレクトロ・ポップ・デュオ=ハーツのライヴ・レポート公開

<ハーツ: 来日公演ライヴ・レポート>

2018年1月29日(月)
マイナビBLITZ赤坂

ハーツのライヴを過去に一度でも観たことがある人ならばご存知だろうが、彼らのライヴは常に驚くほどエモーショナルでアンセミックだ。「欧州的エレガンスを漂わせた、耽美なエレクトロ・ポップをやるデュオ」という、アルバム音源や彼らのヴィジュアルから得られるイメージは、ライヴが始まってものの数分で覆される。前回来日のフジロック(2013)も、フラットな温度で彼らを観ていたフェスのオーディエンスを熱狂させた素晴らしいステージだったが、今回の5年ぶりの単独来日公演は、さらにパワフルに進化したハーツのライヴ・パフォーマンスを目撃できた興奮の一夜となった。彼らのライヴ進化の原動力となったのが、最新アルバム『デザイア~衝動~』だ。リズムとグルーヴを徹底的に鍛えたダンス・アルバムでもある本作によって、彼らのエレクトロ・ポップにフィジカルな説得力が増したからだ。EDMやディスコのエッセンスを取り入れたアッパーな新曲「レディー・トゥー・ゴー」、ラウド・ギターが駈けるロック・バンド然とした「サンデー」など、ショウの前半からウォーミング・アップを必要としない瞬間沸騰のパフォーマンスだ。ライヴではセオ(ボーカル)とアダム(ピアノ、ギター)に加え、ドラムス、ベース、キーボード、そして女性コーラス2人というバンド編成が基本となるハーツだが、今回はとりわけそのバンド・サウンドが活かされたダイナミックなパフォーマンスだ。

美しきエレクトロ・ポップ・デュオ=ハーツのライヴ・レポート公開
(Photo : YOSHIAKI KAYAKI)

ただし、エモーショナルでアンセミックとは言っても、ハーツのライヴはすべてが開けっぴろげで分かりやすいわけではない。たとえば、彼らのステージのライティングは非常に暗い。時折バックライトがフラッシュのように点滅し、ピンスポットライトが仄かにセオやアダムを照らし出すものの、ショウは基本的に薄闇の中で進んでいく。「HURTS」と書かれたバックドロップもモノトーンでシンプル。アダムが弾くグランド・ピアノの上に置かれた白い薔薇の花束も含めて、彼らのステージはどこかシアトリカルでミニマルな美意識で貫かれたものなのだ。そしてそんなステージ上で溢れんばかりのパッションが躍り、過剰なまでに分厚いシンセ、コーラスが宙を突き抜けるという、静と動、影と光のコントラストが圧巻なのだ。白いシャツに細身の黒パンツで王子然としたルックスのセオも「メイク・サム・ノイズ!」と何度も叫び、「ローリング・ストーン」ではしゃがれた声で野太いシャウトを繰り返すなど、ステージ上では徹底したショウマンでもある。後半は新作『デザイア~衝動~』で彼らが獲得したリズム、グルーヴの多様性が活かされたセクションで、ヒップホップ的アレンジを効かせた「サンドマン」や、ファンクやアフロ・ポップのリズムも取り入れた新機軸の新曲「ウォーク・アウェイ」など、ハーツの今後を見据えた未来志向のセットになっていた。そして「日本の皆は本当にビューティフルだ、次の曲は君たちに捧げるよ」とセオが言って始まった「ワンダフル・ライフ」から、彼らとオーディエンスが声を合わせて「僕らは美しき者たち」と宣言した「ビューティフル・ワンズ」、そしてセオが白薔薇を次々とフロアに投げ込んでいった「ステイ」と、本編ラストからアンコールへの流れはハーツとファンが共鳴、共振しながら昂り、ひとつになっていく最高のフィナーレだった。

(文: 粉川しの)

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