米ロサンゼルス出身のグラミー受賞メロウ・ソウル・バンド=ジ・インターネット(The Internet)が、最新アルバム『ハイヴ・マインド』を引っさげ、約1年ぶりとなる単独来日公演ツアーをスタートさせた。昨日(2/26)、初日公演が行われた新木場STUDIO COASTには来日を待ちわびた大勢のファンが会場につめかけ、バンドは最新アルバムからはもちろん、「ドンチャ」や「ガール」などライヴの定番のナンバーなど、新旧織り交ぜた華やかなセットを披露。久々の日本で、会場は鳴り止まない大歓声と熱狂に包まれたツアーの幕開けとなった。
(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
(Photo: Masanori Naruse)
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<ジ・インターネット: 来日公演ライヴ・レポート>
2019年2月26日(火)
新木場STUDIO COAST
春の足音もときおり聞こえる晩冬の2月末。新木場STUDIO COASTではLA出身のメロウ・ソウル・バンド、ジ・インターネットのファンクネスが吹き荒れた。18年にリリースされた最新作『ハイヴ・マインド』を引っさげて、4度目の来日公演である。開演前は、ヤング・ジージーやアウトキャストなどサウス・ヒップホップのご機嫌ナンバーがBGMで流れ、気分を高める。定刻を過ぎてもなかなか現れないメンバーをじりじりしながら待つ観客のなかには、このあとステージでも演奏された彼らの「Mood」の一節を思わず口ずさんでしまった者もいたに違いない(「ガール、あたしを待たせないでね」)。
固唾を飲んで待っていると場内が暗転し、メンバーが持ち場につく。1曲目はやはり「カム・トゥゲザー」だった。軽快に走り出すベースラインをスタートの合図に、ギター、ドラム、ボーカル、シンセがそのあとを追っていく。メンバー全員がソロミュージシャンとしての活動を経て再集結した『ハイヴ・マインド』の開幕曲として、「団結」と題されたこの曲以上にふさわしいものもないだろう。続いて、この日は「Girls Don’t Cry」のTシャツを着用したシドの「踊る準備はいい?」という前口上とともに、「ロール (バーバンク・ファンク)」が披露された。このときの客席の大歓声は、あたかも場内満場一致で「待ってました!」と叫んでいるかのようだった。それもそのはずで、前作『エゴ・デス』までの彼らと今回の大きな違いは、新たにファンク・サウンドを導入したことであり、(ギターのスティーヴ・レイシーの言葉を借りるまでもなく、)今夜のオーディエンスは“踊りに来た”のだから。
(Photo: Masanori Naruse)
『ハイヴ・マインド』に収録されたもうひとつのダンスナンバー「ラ・ディ・ダ」の演奏時には、舞台上のスクリーンに音楽ゲーム「ダンスダンスレボリューション」のプレイ画面(リズムに合わせて矢印が縦スクロールされるアレ)が大映しにされるという粋な演出も見られたぐらいである。個人的には「ラ・ディ・ダ」のブリッジや、旧作から披露された「ギャビー」の後半部分に、グルーヴの渦に没入するかのような陶酔感をおぼえて悶絶した。『Hive Mind(集団意識)』とは、またしても奇妙なタイトルがつけられているが、この名前にはメンバーの結束を表す以外にも意味があるのだと、実際の演奏を目の当たりにして確信した。つながるのはマットやシドたちだけではない。ジ・インターネットの音楽に踊り酔いしれているとき、われわれリスナーもまた、彼らとハイヴ・マインドによってつながることができるのだ。 (文: 小澤俊亮)
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紅一点ヴォーカル<Syd Tha Kid|シド・ザ・キッド>率いるロサンゼルス出身のメロウ・ソウル・バンド<ジ・インターネット>は、2015年にリリースした3rdアルバム『Ego Death|エゴ・デス』が第58回グラミー賞「優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞」にノミネートされ、ソウル/R&Bシーンのみならず幅広い音楽シーンで世界的にブレイク。ここ日本でも2016年1月に初の単独来日公演で見事なソールド・アウト・ショーを行い、勢いそのままに同年のフジロックフェスティヴァルでも圧巻のパフォーマンスを披露して以来、日本でも不動の人気を誇っている。
「ラ・ディ・ダ」 ミュージック・ビデオ
2018年7月には約3年ぶり、通算4作目となる『Hive Mind|ハイヴ・マインド』をリリース。一方、日本の4人組エクスペリメンタル・ソウルバンド=WONKと人気急上昇の本格派女性R&Bシンガー=MALIYAによるジ・インターネットのカバー「La Di Da (The Internet Cover)」が、iTunesのソウル/R&Bチャートを賑わすなど、先日公開されたばかりのミュージック・ビデオと共に話題を呼んでいる。