イギリス音楽誌NME電子版で気になる記事を見つけた。音楽ストリーミングサービスのSpotifyが新しいリスニング・フォーマットをローンチするそうだ。「Shows with music」という新しいジャンルが作られるそうで、そこでは音楽とトークの両方が楽しめる、ということなのだ。
つまり、これまでは(現在もそうだが)ポッドキャストなどには、既存の楽曲などは使用できなかったので、基本的にはトークがメインのプログラムがほとんどだった。おそらく、その辺りの権利処理がクリアになったのだろう、ラジオの音楽番組のような形のパッケージが登場することになったわけだ。
なお、有料会員はフルで聞くことができるが、無料会員は冒頭30秒しか聞けないという制約があるという。
とはいえ、これはかなり画期的な出来事だろう。すでにいくつかローンチされている番組がある。
有料会員の方にはぜひ、ご自身のアカウントで聞いていただきたいのだが、楽曲パートは、Spotifyで楽曲が再生されていることになるようなので、その曲をお気に入りに加えたり、楽曲ページにジャンプしたりすることもできる。
著者はラジオ番組制作もしているのだが、やはりラジオ、というのは根源的に音楽メディアである、と考えているのだが、今回、音楽も流せるポッドキャスト(?)が登場することで、ラジオが置かれる立場、というのはかなり厳しくなるのではないだろうか。
新型コロナウイルスの影響で、広告収入に頼っているメディアの置かれる立場は今後かなり厳しい状況に陥ることも考えられる。そこで生き残っていくためには、やはり音楽が重要なのではないだろうか?と考えていただけに、これはいろんな意味で衝撃である。
奇しくも、今年、日本のラジオでは大きな出来事が立て続けに起きている。6月には名古屋と新潟のFMラジオ局が閉局に追いやられ、在京のFM局のInterFM897が、JFNに買収されるという、驚きのニュースもあった。今後、InterFM897はJFNの番組がネットされていくようになるのだろう。すでに今月末で終了する番組がアナウンスを始めている。
そんな状況の中で、Spotifyの新サービスの登場。これは、The Best Music On The Planetを標榜しているFM局も、うかうかしていられないのではないか。トークだったらYouTubeやポッドキャスト、音楽ならラジオ、というギリギリの構図が、これによって「やっぱり音楽はならストリーミング・サービス」ということになるのかもしれない。
(NO.16 編集部)