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[コラム] 鎖国状況が加速しそうな日本の音楽業界

NO.16編集部コラム


Apple Musicでラジオプログラムがスタートした。その初回はFM802やZIP-FMで活躍する落合健太郎氏がDJを務める「J-POP NOW RADIO」だ。ゲストに米津玄師を迎えたプログラムで、1時間ちょっとの内容となっている。

https://music.apple.com/jp/curator/j-pop-now-radio-with-kentaro-ochiai/1526877564

聞いてみた感想としては、ここまで日本の音楽マーケットというのは鎖国状態になってしまったのか、ということだ。

先に断っておくが、J-POPを非難しているわけではない。日本のポップスも良質なものが多く、日本人にとってはやはり心地よいサウンドだったり、メロディがあり、日本語の詞が刺さる。とはいえ、海外の音楽がここまで広がりを失うとは、個人的には思ってもみなかったのだ。Apple MusicやSpotifyと言ったストリーミングサービスの普及によって、むしろJ-POPと海外の音楽が並列になり、「J-POP」という言葉すら意味を持たなくなるのではないか、と期待していたくらいだったのだ。

「J-POP NOW RADIO」は、冒頭2曲が米津玄師と藤井風、という今のJ-POPを牽引するであろうアーティストを並べている。その後もフレンズの新曲やKing Gnuの新曲、米津玄師のインタビューを挟み、ヨルシカ、BLUE ENCOUNT、Naz、KALMA、aikoと続く。サービスとしてのプラットフォーム、Apple Musicだから仕方ないといえば仕方ないのだが、このプレイリストに心惹かれないのは私だけだろうか?これは日本のラジオにも言えることかもしれないが・・・

Apple Musicというストリーミング界の巨人が放つプログラムとして、どんなプログラムを繰り出してくるのか期待が大きすぎたのかもしれない。実際のリスナーもドメスティックな傾向が強くなっていることもなんとなく理解できる。しかし、だからこそ、「個人」が感じる「良い音楽」がどんな曲なのか、というフィルターが今は強く求められるのではないだろうか。日本のラジオDJは、喋りのベクトルが強い傾向がある。でも、それぞれが好きな音楽があり、好きなアーティストがいるわけだ。それはJ-POP、洋楽を問わずいるはずだろう。その紐付けこそが大事な気がしてならないのだ。

最初から、マーケットはドメスティックだから、ということで距離を置いてしまえば、洋楽への接点がどんどん減ってしまい、マーケットにも上がってこなくなってしまう。CHAIのように、海外で評価されるアーティストもいるし、Jojiのように海外で活躍している日本人アーティストもいる。入り口は色々作れると思うのだが、どこか音楽業界全体として内向きの矢印しかないような気がしてならない。今年は特にコロナの影響でフェスも無くなってしまい、来日公演もほぼキャンセル状態。もともと飢えている人たちは自然と探しに行くだろうが、音楽の裾野を広げる、という意味では矢印を色々な方向に向けていってほしいと思う。

もちろん、「言われなくても色々考えてやってるんだよ!」とか「言われなくても企画してるよ!」というお叱りの言葉も聞こえてくるかもしれない。今後のAppleやSpotifyに期待を込めて!!

(NO.16編集部)

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