最新のアメリカのビルボードチャートで、HOT100に複数の楽曲を送り込み、HOT200でチャート1位を獲得したのが、POP SMOKEだ。彼はニューヨーク、ブルックリン出身のラッパーで、まさにこれからが期待されていたラッパーの1人だった。
過去形になっているのは、今年の2月にこの世を去っているからだ。
2月19日の早朝、彼の自宅で数発の銃撃を受け、命を落とした。若干20歳という若さだ。昨年末、オーバードーズでこの世を去ったJuice WRLDが21歳。アメリカのラップ界は、立て続けに若い才能を失うこととなってしまった。
イージーE、ビギー、2Pac、これまでも多くの才能を失ってきたが、今回、ポップ・スモークを殺害した犯人として逮捕された5人が、彼とどういった関係で、何かトラブルを起こしていたのか、詳細は分かっていない。
ポップ・スモークは18歳でキャリアをスタートさせ、2019年のシングル「Welcom To The Party」が大ヒットとなり、ブルックリン・ドリルの若き才能として期待を集めていた。
ドリル・ミュージックとは、貧富の差が大きいシカゴで、生活や街の「闇」の部分を暴力的なリリックで綴ったラップだ。ブルックリンもまた、ニューヨークにありながら低所得者向けのアパートがあったりと、う闇の部分があり(もちろん、どの街にもあるのだろうが)、そういった土壌で生まれたサブジャンルだろう。
ポップ・スモークのアルバム「Shoot For The Stars Aim For The Moon…」だが、Spotifyでは全19トラック(デラックスバージョンは34トラック)が収められている。少し鼻から抜けたような、しかしその太い声は20歳とは思えないような貫禄すら覚える。もちろんドリルらしい、ダークな楽曲があるのは当然なのだが、ニューヨークらしい、スノッブな楽曲もある。
「Something Special」や「What You Know Bout Love」といった曲は、私のようなラップミュージックをそこまで聞かないような人にとってもとても聴きやすく、ポップ・スモークを知る入り口としてはとても入りやすい楽曲ではないだろうか。
特に「What You Know Bout Love」は、ジニュワインの名曲「Differences」をサンプリングしていて、涙ものだ。
果たしてどんな理由があって、命を奪われなければならなかったのか、それは分からないが、これから多くの可能性を秘めている若者が死を迎えてしまうというのは、なんとも残念な話である。全米チャートで1位を獲得したのが、せめてものはなむけにになるだろうか。
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(NO.16編集部)