イギリスとアイルランドの音楽シーンにとって重要な賞の一つである、マーキュリー・プライズが発表された。この賞は、毎年最も優れたアルバムに対して贈られるアワードになっている。
2020年は、イギリス出身のソウル・シンガー、マイケル・キワヌーカの3rdアルバム「キワヌーカ」が受賞した。
このマーキュリー・プライズは、1992年に創設され、以後、錚々たるアーティストが受賞しているので、今回はそれを振り返っていたいと思う。
まず最初の年は、プライマル・スクリームの「スクリーマデリカ」。マッドチェスターの流れから、ロックンロールやアシッドハウスといったあらゆるサウンドを取り入れ、彼らの音楽性が大きく変化した。
2000年は孤高のシンガーソングライター、バッドリー・ドローン・ボーイの1stアルバム「The Hour of Bewilderbeast」が受賞。彼はこの後、映画「アバウト・ア・ボーイ」のサウンドトラックを手がけ、ブレイクを果たした。
2004年は、フランツ・フェルディナンドのデビューアルバム。
すでに16年も前のアルバムなのかと、ちょっと驚きなのだが・・・ちなみに、「フランツ・フェルディナンド」という名前は、第1次世界大戦の引き金ともなったサラエボ事件で暗殺されたオーストリア大公の名前である。
2006年は、アクモン・・・アークティック・モンキーズのデビューアルバム「Whatever People Say I Am,That’s What I’m Not」。タイトルの長さもそうだが、「I Bet You Look Good On The Dancefloor」のイントロのギターを聞いた瞬間の「なんだこのバンド!?」という驚きと興奮は今でも思い出せる。
2007年クラクソンズ、2008年エルボーと、バンドが続いたが、この頃を境にバンドの名前がリストから少なくなっていく。代わりに、ジェイムス・ブレイクやヤング・ファーザーズ、スケプタといった、ダブステップ、ヒップホップ勢が多くなっていく。これは世界のヒットチャートの流れとリンクしている。
マーキュリー・プライズは来年が30回目の節目。一体どんなアーティストが受賞するのか、楽しみである。
(NO.16 編集部)