2021年。来年2022年は、ビートルズがデビューしてっから60年となる。現代のポップミュージックの源流とも言えるビートルズがデビューしてからすでに半世紀以上の時が経っている。ファッション業界では、過去の流行が数十年ごとに再流行してくることはよく言われているのだが、実は音楽でも「流行の再流行」という動きは確実にある。
例えば、2000年台に起こったガレージロック・リバイバル。60年代〜70年代のガレージロック調のロックサウンドを奏でるバンドが多数登場し、世界中でヒットを連発した。The Strokes、The White Stripes、Vines、The Libertinesなど、激しさもあり、ギターサウンドを前面に押し出した音が多くのリスナーに愛された。
また、80年代から90年代にダンスフロアを席巻したハウス・ミュージック。ダンスミュージックのメインストリームとなり、リミックス文化も合間って、ボーカルハウスなども隆盛を極めた。その後はエレクトロミュージックの細分化も相まって、ハウス自体は徐々にチャートなどからも影を潜めることとなった。だが、最近になって、ディスクロージャーなどがハウスを取り入れている。ボーカリストにアフリカのシンガーを迎えるなど、よりプリミティブなダンスミュージックに回帰しているのだろうかとも感じられる。
そして、今、熱を帯びているのは70年代ソウルのリバイバルなのではないだろうか。コンピューターのスペックの向上、ハード、ソフトの価格の低下、ネットでの音楽発信の場の増加など、色々な条件のもとでDTMでの音楽制作が容易になった現代だが、改めて「生音」の温かみだったり、グルーヴというものが聞く人の心に染みてきているのではないだろうか。そのリバイバルを引っ張るのが、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニット、Silk Sonicだろう。
3月にリリースした「Leave The Door Open」は、極上のバラードだ。MVでは冒頭からオープンリールを回すという、現代の若者には伝わらないのではないかと思われる小道具まで登場。フィリーソウルを思い起こすファルセットによりコーラス、何よりビデオに映るブルーノとアンダーソン、そしてバンドメンバーの楽しそうな表情。メロディーの良さと、バンドの一体感が聞く人見る人にも伝わってくるだろう。そして、今月リリースした新曲「Skate」は、打って変わってダンスナンバー。
今度はローラースケートを持ち出し(これは80年代なのかな?)、見る人が見れば懐かしさを覚え、知らない世代が見れば、新鮮に感じること間違いなしだろう。
他にも、Aaron Frazer、Leon Bridges、Durand Jones & The Indicationsなど、良質なソウル・アーティストが次々に出てきている。
なお、ブルーノ・マーズは、「Finnese」でニュー・ジャック・スイングを再び大ヒットさせた。
次にリバイバルが来るのはいったい、どんなサウンドなのか。そして、新しく生まれてくるサウンドにも注目したい。
(NO.16編集部)