『アーティストとしての自分と、ジョンとヨーコの息子でいることを両立するプロセスというのは、一生かかるものなんじゃないかな。でも、自分が思いついた最善の解決策は、あまり心配しなさすぎないことだね。自然体の自分から出てくるものに従えばいいんだ。そして自然体の自分から出てくるものというのは、明らかにビートルズやジョンやヨーコの影響が大きいんだ。それが僕の出自だからね』 (ショーン・レノン)
(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
ニュー・アルバム『サウス・オブ・リアリティ』をリリースしたザ・クレイプール・レノン・デリリウム。壮大なクラシック・ロック再検証にトライしたショーン・レノンがオフィシャル・インタビューに答え、ソニー・ミュージックの公式サイトで公開された。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/theclaypoollennondelirium/info/504622
新作について、相棒のレス・クレイプール(プライマス)について、自身の音楽歴から現在の音楽ルネッサンス的な状況について、そして、偉大なる父と母について、今の気持ちを正直に語った非常に興味深いインタビューとなっている。
父ジョン・レノン、母ヨーコ・オノについてはこう語っている。
『僕の父がビートルズにいて、僕の両親がジョンとヨーコだからこそだと思うけど、僕は自分の音楽がロックンロールのマスターたちの築いてきた歴史のどこに位置するかをできるだけ考えないようにしてきたような気がするんだ。もしそういうことに囚われていたら、そういうのにインスパイアされて音楽を作るなんてことは畏れ多くてできなかったかも知れない。だからあまり考えないようにしているというか、自分のバンドを何かと比べないようにしているんだ。・・・アーティストとしての自分と、ジョンとヨーコの息子でいることを両立するプロセスというのは、一生かかるものなんじゃないかな。ある意味逃げ場がないというか。大半の人たちは僕のことを両親の文脈の中でしか見てくれないからね。僕のことを見て、僕のことだけを考えてくれる人っていうのはとても珍しいんだ。それに対する僕のリアクションはというと、初期のアルバムをとってみても、声のオーバーダブはほとんどしていなかった。スタジオでそれをやると、自分的にはすごくいい音になるけど、みんな「Oh my god! お父さんそっくりになるね」とか「そっくりになっちゃうからだめだよ」なんて言われてしまうんだ。だから初期のアルバム数作は聴く気になれない。声の処理がしっくりこないし、僕には当時からひどい音に聞こえていたからね。立ち戻って考えてみても「どうして自分の声をいい音にしなかったんだろう」と思ってしまうんだ。父に似た声にしようとしているとか言われることを恐れて、やらなかったことを後悔しているよ。でも、やっと気づいたんだ。「声のオーバーダブは必要だ。いい音にするためにも」ってね。もっと力強い歌い方をしないといけない。その方がいい声に聞こえる。
そりゃ人は「お父さんみたい」と言うかも知れないけど、それはどうにもならないことだから、とにかくやることだ。そう思うようになった。基本的に勝ち目はないんだ。いい声にしようとしたり、思い切り息を使って歌ったら父に似てしまうし、みんなにもそう言われてしまう。かと言ってそれをやらなかったらいい音楽にはならない。そういうことだよね。・・・自然体の自分から出てくるものに従えばいいんだ。そして自然体の自分から出てくるものというのは、明らかにビートルズやジョンやヨーコの影響が大きいんだ。それが僕の出自だからね。と言いつつ、この問題は完全には解決していないし、一生しないと思う。僕の両親の名声は素晴らしいものだから、それを忘れてもらうことを期待するのは無理だと思うしね。というか、通常はみんなそっちを先に考えるから。で、僕がラッキーであれば、その後で僕自身に対しての感想を持ってくれるかも知れない。自分が思いついた最善の解決策は、あまり心配しなさすぎないことだね。実は最近考えるんだ。どうして自分は音楽を作っているのか。そうしたら、あるフィーリングを得るために作っているということに気づいたんだ。自分が録音したものを聴いていて、それを気に入ると、そういうフィーリングになるんだけど…それはすごく難しいことなんだ。僕はたくさん曲を書くけど、聴き返してみて「何だかなあ…好きになれないなぁ」なんて思うことも結構ある。最終的に満足いくものができたときのフィーリングは、手に入れるのがすごく難しいことだけど、実際達成できたら本当にすてきな気分になれるんだ。それを自分は生き甲斐にしているんだなって思うよ。』 (ショーン・レノン)
ザ・クレイプール・レノン・デリリウムの新作『サウス・オブ・リアリティ』は2016年『ザ・モノリス・オブ・フォボス』以来3年振りとなるセカンド・アルバム。サイケデリック・ロックとプログレッシヴ・ロックを融合させたサウンドに、煌めくポップなメロディを乗せた変幻自在の万華鏡サウンドが炸裂する、全曲二人による書き下ろし&プロデュース。更に日本盤ボーナストラックには、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ザ・フー、そして日本が世界に誇るフラワー・トラベリン・バンドのカバー4曲を収録。プログレ・サイケ・ポップの進化形とでもいうべき新たな姿を魅せてくれる。新作から第一弾シングル「ブラッド・アンド・ロケッツ」のミュージック・ビデオと「アメジスト・レルム」の音源が公開されている。
「ブラッド・アンド・ロケッツ」 ミュージック・ビデオ
「アメジスト・レルム」音源
日本盤のボーナス・トラックは、2017年に『Lime And Limpid Green』のタイトルで発売された10インチ・アナログEPの4曲を日本初CD化。新作の楽曲にもその影響がうかがえるシド・バレット時代のピンク・フロイドの名曲「天の支配」や、キング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」といったプログレの名曲と共に、レスのベースプレイの原点ともいえるザ・フーの「ボリスのくも野郎」、そして、日本が世界に誇るフラワー・トラべリン・バンドの「Satori」といった絶妙なカヴァーが収録されている。
正真正銘のビートルズの遺伝子であるショーン・レノンと超絶変態ベーシストのレス・クレイプールの融合、本作についてショーンは「圧倒的な音のサイクロンで包むこのアルバムは、ミュータントの友だちと高性能のガラクタ・トラックに乗って、世界滅亡後の砂漠を覆う黄色いスモッグを駆け抜けたくなるようなアルバム」と語っている。
ザ・クレイプール・レノン・デリリウムのセカンド・アルバム『サウス・オブ・リアリティ』はCD、デジタル、アナログLPのフォーマットで2019年2月22日全世界同時発売。輸入盤のみの限定アナログLPはPink & Purple With Aqua Splatterカラー・レコードとなっている。
◆ 作品情報
ザ・クレイプール・レノン・デリリウム『サウス・オブ・リアリティ』
The Claypool Lennon Delirium/South of Reality
● 品番:SICX-121
● 価格:¥2,400+税
● 日本盤ボーナストラック4曲収録
● 解説:藤本国彦 対訳:宮城裕次
【トラックリスト】
01. リトル・フィッシズ/Little Fishes
02. ブラッド・アンド・ロケッツ(1stシングル) / Blood and Rockets : Movement I, Saga of Jack Parsons – Movement II Too the Moon
03. サウス・オブ・リアリティ/South of Reality
04. ボリスカ/Boriska
05. イージリィ・チャームド・バイ・フールズ/Easily Charmed by Fools
06. アメジスト・レルム/Amethyst Realm
07. トーディマンズ・アワー/Toadyman’s Hour
08. クリケット・クロニクルズ・リヴィジテッド/Cricket Chronicles Revisited : Part I, Ask Your Doctor – Part II, Psyde Effects
09. ライク・フリーズ/Like Fleas 3:32
<日本盤ボーナストラック>
10. 天の支配/Astronomy Domine (Pink Floydのカバー)
11. ボリスのくも野郎/Boris The Spider (The Whoのカバー)
12. クリムゾン・キングの宮殿/The Court Of The Crimson King (King Crimsonのカバー)
13. Satori/ Satori (Flower Travellin’ Bandのカバー)