2017年にリリースした最新アあルバム『フー・ビルト・ザ・ムーン?』がキャリア史上10作目の全英アルバム・チャート1位を獲得した、ノエル・ギャラガー率いるノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズが、4年振りの単独ジャパン・ツアーを開始。初日となった5/15(水)の幕張メッセイベントホール公演では、先日リリースした最新シングル「ブラック・スター・ダンシング」や、オアシス含む自身のキャリアでのヒット曲満載のセットを披露、詰めかけた6,500人のオーディエンスを魅了した。同公演のライヴレポートが到着した。
(情報提供:SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
(Photo: Mitch Ikeda)
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<以下ライヴレポート>
とても後味のいいライヴだった。「爽やか」という言葉すら脳裏に浮かぶほどに。2017年11月に3rd『フ―・ビルト・ザ・ムーン?』を発表、オアシス時代から通算で10作目の全英1位を獲得し、曲もバンドもこなれた状態で今回の来日公演は行われた。加えて来日直前、5月12日にマンチェスター・シティが英プレミアリーグで2年連続の優勝。ロッカールームを訪れたご機嫌なノエル(=幼少期からのサポーター)を、選手たちが”ワンダーウォール”の合唱で歓迎する映像がチーム公式SNSに投稿されている。
(Photo: Mitch Ikeda)
バンドとキーボード2名、曲によってはバックボーカル1名とブラス隊3名が加わるこの日の編成。「フォート・ノックス」で幕を開けてからの5曲は3rdの冒頭と同じ並びで、その後の選曲も最近の海外でのライヴとほぼ同じ。にもかかわらず予定調和な退屈さを感じさせない理由に、クリス・シャーロック(Dr)とゲム・アーチャー(G)というオアシス時代からの盟友を含むメンバーたちが、緩急および重さ/軽さを使い分けながら、曲たちに気持ちいい風を吹き込んでいたこともあった。例えば「シー・トート・ミー・ハウ・トゥ・フライ」は、クリスの一瞬たりともぶれないドラムを軸にした生バンドならではのアンサンブルが、デヴィッド・ホルムス風味のこの曲に、青空の元で感じる類の光と風をまとわせる。続く、新曲”ブラック・スター・ダンシング”は、音源で聴くとデヴィッド・ボウイへのオマージュを感じさせたが、ライヴでのアレンジはむしろニュー・オーダー曲を感じさせ、ノエルのマンチェスターの系譜を伺わせる。しかも途中で挟まれるゲムのギター・ソロの、しびれることといったら!
(Photo: Mitch Ikeda)
マンチェスター・シティが優勝してすぐ飛行機に乗ってきたノエル、疲労もあっただろう。しかし結果的にそれも功を奏したのか、トップスターの慣れや慢心ではなく、肩に力を入れすぎないながらも懸命に、目の前の観客に曲を届けようとするノエル・ギャラガーがそこにいた。今の顔ぶれで演奏するオアシス中・後期曲の「安心できる新鮮さ」にも驚かされつつ、アコギとキーボードでシンプルに歌われた“デッド・イン・ザ・ウォーター”が、新しい時代の名曲としての存在感を宿すさまをライヴで目の当たりにできたのも良かった。爽やかな後味の、とてもいい夜だった。 (文:妹沢奈美)
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同公演のセットリストを、現在プレイリストにて公開中だ。
◆ ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
幕張メッセイベントホール公演 セットリスト・プレイリスト
6月14日にはEP『ブラック・スター・ダンシング EP』をリリース、年内には更に2枚のEPをリリースする予定であることを明かしており、本国UKの公演では新曲も披露したことが話題ともなっているノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズだが、本日の名古屋公演、明日の大阪公演ではどんなセットを披露してくれるのか、注目が集まる。
◆ 来日公演情報
NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS JAPAN TOUR 2019
● 東京 5月15日(水) 幕張メッセイベントホール (終了)
● 名古屋 5月16日(木) 愛知県芸術劇場
● 大阪 5月17日(金)フェステイバルホール