<特集 – HIP HOPのサントラ「JUICE」>
HIP HOPが使われている映画のサウンドトラックを特集。
今回ピックアップした映画は1992年の「JUICE」。ラッパーの2PACが映画に初めて出演した作品であり、アメリカの黒人社会が抱く様々な問題をHIP HOPカルチャーとともに描いた作品。4人の友人たちが、ある一つの出来事をきっかけに、友情そのものに大きな変化を迎えていく。
サウンドトラックはラップ、ブレイクビーツ、ニュージャックスイング、R&Bと、当時のHIP HOPを感じる上でも、楽しめる内容となっている。オールドスクールの流れを汲む、ブレイクビーツにラップを乗せるスタイルは、今聞いても新鮮だ。
Juice(Know The Ledge)
Juice(Know The Ledge) Eric B. & Rakim
映画のオープニングはこの曲とともにスタート。ナット・アダレイ(キャノンボール・アダレイ)の“Rise,As Rise”からサンプリングしたベースラインに、跳ねるとようなドラム、スクラッチ、そしてラップが乗り、何かが始まるワクワク感と共に、何が起こるかわからないスリリングな雰囲気も伝わってくる、まさに映画を印象付ける1曲かもしれない。なお、MVでは映画のシーンも使われている。
Nuff’ Respect
Nuff’ Respect Big Daddy Kane
オープニングが終わり、物語の主人公である4人の若者が目覚めるシーンで、メインの1人、DJを目指すQことクインシーが母親に起こされ、シャワーを浴びるときにカセットテープで流す曲がこの曲。ニュージャック・スイングを代表するラッパーの1人、ビッグ・ダディ・ケインは、今でこそ目立ったリリースは内容だが、様々なアーティストにフィーチャーされる形で音源も出している。
Sex,Money & Murder
Sex,Money & Murder M.C.Pooh
映画の序盤、小さな店の軒先でちょっとしたいざこざが起きるが、その店もストーリー上、重要なロケーションの一つとなる。その後、日常的なものだろうか、警察との追いかけっこがあり、4人のうち1人が捕まってしまうが、まんまと警察署を抜け出し、再び彼らの日常へと戻っていくシーンで使われている。ここでQはDJコンテストのポスターを見つけるが、このポスターもグラフィティとしてHIP HOPカルチャーを反映している。
Is It Good To You feat.Tammy Lucas
Is It Good To You feat.Tammy Lucas Teddy Riley
Qたち4人は町のレコードショップに入り、そこでレコードをディグしながら、ちょっとした悪巧みを行う。そのレコードショップで流れているのがこの曲。テディ・ライリーはニュージャック・スイングのシンガーとして名を馳せ、GUY、 BLACK STREETといったグループでもヒットを飛ばした。また、プロデューサーとしてはマイケル・ジャクソンの「Remember The Time」をヒットさせるなど常に第一線で活躍していた。
Uptown Anthem
Uptown Anthem Naughty By Nature
物語の中盤、一発の銃弾がそれまでの日常を大きく変えることになる。主人公たち4人の関係も急激に変わっていき、衝撃のラストを迎えることになる。当時、もしかしたら誰にでも起こり得たのかもしれない、そんな思いを抱かせ、エンドロールになるのだが、そこで流れてくるのがこの曲。なお、ノーティ・バイ・ネイチャーのトレッチは、映画にもカメオ出演をしている。
他にも、サミュエル・L・ジャクソン、クイーン・ラティファ、ドクター・ドレーも出演している。