(情報提供: SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
コロナ禍の中で11月に海外オーケストラによる初の日本公演を実現させ、日本の音楽ファンに熱いメッセージを届けたウィーン・フィル。彼らのコンサートの中でも最も有名なのが毎年1月1日に行なわれるニューイヤー・コンサートだ。元旦に黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、5千万人が視聴するというこのクラシック音楽界最大のイベントでは、1939年に始まる80年以上の歴史を誇り、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難。2021年は、オーストリア政府によるコロナ感染予防対策が1月6日まで実施されるため、同一プログラムで開催される12月30日のプレビュー公演、31日のジルヴェスター公演も含め、史上初めて無観客で開催されることになった。
異例の状況で実現する2021年のニューイヤーだが、2010年以来シカゴ響音楽監督をつとめる巨匠リッカルド・ムーティが2018年に次いで3年ぶり6回目の登壇を果たす。1971年ザルツブルク音楽祭でのドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」での初共演以来、これまでウィーン・フィルを550回以上指揮し、2011年以来同団名誉会員として現在最も密接な関係にあるムーティならではの気心知れた仲にも緊張感あふれる演奏が期待できる。
2021年の演奏曲目は、「春の声」、「皇帝円舞曲」、そして「クラップフェンの森で」と珍しく横綱級の名曲が並ぶ一方、ニューイヤー初登場では、LP時代のクナッパーツブッシュの豪快な名演で日本にファンも多いコムザークの代表作「バーデン娘」、オペレッタの作曲家として人気の高いカール・ツェラーとカール・ミレッカーの2曲など7曲を予定。またイタリアと縁の深い「マルゲリータ・ギャロップ」と「ヴェネツィア人のギャロップ」、それにヴェルディの4つのオペラの有名チューンを取り入れた「新メロディ・カドリーユ」は、まるでオーストリアと指揮者ムーティの故国との絆を寿ぐかのようだ。もちろん定番のアンコールも予定されている。
元旦の演奏会でのライヴ収録直後に音声の編集が行われすぐさまプレス製造され発売されるのがニューイヤー・コンサートの通例で、2021年は1月8日に全世界でデジタル配信が開始され、同日にヨーロッパのCDショップの店頭に並ぶ。国内盤での発売はCDが1月27日、ブルーレイが2月17日の予定。CDの音声はフリーデマン・エンゲルブレト率いるベルリンのテルデックス・スタジオ、ブルーレイの収録はオーストリア放送協会(ORF)が担う。毎年の収録を通じてホールの特性を知り尽くした両者が生み出す鮮明な音声と映像は、たくさんの花で美しく彩られたウィーン・ムジークフェラインの黄金のホールで繰り広げられる音楽の饗宴を生々しく楽しむ贅沢を与えてくれるだろう。ブルーレイには、海外ではTV生中継の休憩時間に放映されるウィーン・フィルのメンバーによる室内楽でつづった映像作品のほか、恒例のウィーン国立バレエ団によるバレエ・シーン付きの特典映像が収録される予定。
◆ リリース情報
リッカルド・ムーティ&ウィーン・フィル
『ニューイヤー・コンサート2021』
● 発売日: デジタル配信 2020年1月8日(通常配信・24ビット96kHzハイレゾ配信・ストリーミング)
CD SICC-2221~22 2枚組 2021年1月27日予定 ¥2,900+税
ブルーレイ SIXC‐37 2021年2月17日予定 ¥5,700円+税
【収録予定曲】
1.ファティニッツァ行進曲★(スッペ)
2.ワルツ「音波」作品148★(ヨハン・シュトラウス2世)
3.「ニコ殿下のポルカ」作品228(ヨハン・シュトラウス2世)
4.ポルカ・シュネル「憂いもなく」作品271(ヨーゼフ・シュトラウス)
5.ワルツ「坑夫ランプ」★(ツェラー)
6.ギャロップ「贅沢三昧」★(ミレッカー)
7.喜歌劇「詩人と農夫」序曲(スッペ)
8.ワルツ「バーデン娘」作品257★(コムザーク)
9.「マルゲリータ・ポルカ」作品244★(ヨーゼフ・シュトラウス)
10.「ヴェネツィア人のギャロップ」作品74★(ヨハン・シュトラウス1世)
11.ワルツ「春の声」作品410(ヨハン・シュトラウス2世)
12.ポルカ・フランセーズ「クラップフェンの森で」作品336(ヨハン・シュトラウス2世)
13.「新メロディ・カドリーユ」作品254(ヨハン・シュトラウス2世)
14.皇帝円舞曲作品437(ヨハン・シュトラウス2世)
15.ポルカ・シュネル「恋と踊りに夢中」作品393(ヨハン・シュトラウス2世)
以上のほか当日のアンコール曲を収録予定。ブルーレイには特典映像を収録予定。
★ニューイヤー・コンサート初演奏の作品
*日本ヨハン・シュトラウス協会刊の『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(2006)、『ヨーゼフ・シュトラウス作品目録』(2019)に従っています。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
[録音]2021年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング