日大のアメフト部員による危険なプレーが世間を揺るがせた。
幸いにも被害者である関学大のクォーターバックは、試合に復帰したという。
重い後遺症などが残らなくて本当に良かった。
今回の一件で、果たして監督やコーチがどのような意図で選手に指示を出していたのか、
真相はまだ明らかになっていないが、残念なことに日本におけるアメリカン・フットボールに対する
イメージというのは、下がってしまったのではないだろうか?
今回の一件は、残念で仕方ないのだが、スポーツとしてみると非常にシステマチックでかつ、ドラマチックな側面も備えた、非常に魅力あふれるスポーツである。日本ではラグビーと混同する人が多くいるようだが、ボールを前に投げることができるかどうか、選手が防具をつけているかどうか、攻撃と守備のターンで選手が入れ替わるかどうかで、ラグビーかアメフトかは区別できるので、興味を持ったら見比べてみてほしい。
そして、ご存知の方も多いと思うが、本場アメリカのアメフトは音楽とも非常に関わりの深いスポーツである。それはアメリカの一大イベントでNFL(アメフトのプロリーグ)の年間チャンピオンを決めるスーパーボウルにおける、ハーフタイムショウだ。
NFLはアメリカで最も人気の高いスポーツのひとつで、その優勝決定戦であるスーパーボウルは全米が熱狂する。2016年のスーパーボウルのテレビ視聴率はなんと46.6%。つまり全米のおよそ半分の人が見ていたことになる。このテレビ中継で流されるCMの価格も破格なものとなっており、世界で最も高価なテレビCMとも言われている。
そして、そのスーパーボウルのハーフタイムショーは文字通り第2クォーターと第3クォーターの間に設けられているハーフタイム(アメフトは全4クォーターで競われる)に、世界のトップアーティストがパフォーマンスを行うのだ。その時間は15分程度。短い、と感じる方も多いだろうが、このハーフタイムショウの出演者に選ばれるということは、アーティストとしては「世界的トップアーティスト」というお墨付きを得たも同然なのだ。
歴代の出演アーティストを見ても錚々たるアーティストが名前を連ねている。
今回はNFLやアーティストのYoutubeアカウントにアップされているハーフタイムショーのパフォーマンスを振り返ってみよう。(※一部インタビューなどを交えた構成となっている)
Michael Jackson(1993年)
それまではトイレ休憩、という意味合いが強かったハーフタイムをエンターテインメントに押し上げたのがマイケル・ジャクソンだった。
U2(2002年)
U2のハーフタイムショーは大きな話題となった。アメリカでは前年の9月に同時多発テロが発生。「Streets Has No Name」のパフォーマンスの際、スクリーンにはテロで犠牲になった人達の名前が映し出されたのだ。
Paul McCartney(2005年)
生ける伝説、ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニー。ビートルズのナンバーもプレイした。そして翌年はローリング・ストーンズがハーフタイムショーに出演している。
Prince(2007年)
雨の中でのパフォーマンスとなったが、紫色にライトアップされた雨の会場で歌われる「パープル・レイン」は圧巻だった。
Katy Perry(2015年)
ハーフタイムショーでもう一つ注目されるのが、ゲスト・アーティストである。2013年、ビヨンセの時はデスティニーズ・チャイルドとしてパフォーマンスしたり、翌年の2014年には、ブルーノ・マーズのステージにレッド・ホット・チリペッパーズが登場した。
そして2015年のケイティ・ペリーの年には、レニー・クラヴィッツ、そしてラッパーのミッシー・エリオットが出演。ただ、若者たちの中にはミッシーを知らない世代も多くいて、「あの新人ラッパー誰!?」とネット上で話題になったとか。
Coldplay(2016年)
イギリスが誇るバンド、コールドプレイ。楽曲からしてあまりアメリカっぽくはないのだが、ゲストにビヨンセとブルーノ・マーズ、ちょこっとマーク・ロンソンが登場するという超豪華メンバーとなった。
しかし、見ていた側からすると、完全にビヨンセとブルーノ・マーズに持って行かれた感が否めないものとなってしまった。
Lady Gaga(2017年)
会場の屋上からヒモに吊るされて降りてくるという、スパイダーマンさながらの衝撃の登場をしたガガ様。彼女の歌唱力とエンターテイナーとしての力量を存分に思い知らされるステージだった。
Justin Timberlake(2018年)
あまり目立った活動をしていなかったように見えたジャスティンだが、新曲をリリースして満を持してのハーフタイムショウ。ジャスティンは、2001年にN’ Syncとして、2004年にジャネットのゲストとして出演しており3度目のハーフタイムショーとなった。会場がミネアポリスということで、2016年に急死したプリンスのカバーを披露する演出もあった。
残念ながらオフィシャルにアップされていないパフォーマンスもあるのだが、中でも、2004年のジャネット・ジャクソンは、ゲストで登場したジャスティン・ティンバーレイクがジャネットの胸の衣装を剥ぎ取り、ポロリしてしまうという一幕があったり、2012年のマドンナの時は、こちらもゲストのM.I.A.がカメラに向かって中指を立てたりと、話題に尽きない。
とはいえ、このよう本場ではエンターテインメントとしてしっかり根付いているのだ。冒頭の話題に戻るが、今回、日本のアメフトは非常に大きなダメージを負ってしまった。しかし、改めて言うがアメフトというスポーツは非常に魅力的である。是非とも興味を持って見てみて欲しいし、日本でも音楽とタッグを組んで日本の大学アメフト、そして社会人アメフトがより盛り上がっていくことを切に望む。
(No.16 編集部)