弱冠20歳、“オルタナティヴR&Bの新星”カリード(Khalid)が、10月29日(月)に新木場STUDIO COASTで一夜限りの超プレミアな初来日公演を開催し、会場に集まったファンを圧倒的パフォーマンスで魅了した。
(情報提供:SONY MUSIC JAPAN INTERNATIONAL)
(Photo: Masanori Naruse)
2017年3月にデビュー・アルバム『アメリカン・ティーン』で華々しくデビューし、今年開催された第60回グラミー賞では、主要部門の1つである<最優秀新人賞>を含む計5部門にノミネートされたカリード。来日直前の10月19日(金)には、9月に先行リリースされSpotifyだけでも既に1億回再生を記録している新曲「ベター」や、初のスペイン語歌唱に挑戦した楽曲「サンシティ feat. エンプレス・オブ」を含む計7曲を収録したEP『サンシティ』をリリース。そんな彼がデビュー曲から最新曲にわたってその才能を惜しみなく披露した初来日公演のレポートが公開となった。
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<カリード 来日公演ライヴ・レポート>
American Teen Tour
2018年10月29日(月)
東京 新木場 STUDIO COAST
生バンドが後ろに控えるなか「8ティーン」で登場したカリードは、同曲を披露し終えると早くも上着を脱ぎ、デビュー・アルバム『アメリカン・ティーン』収録楽曲を次々にパフォーム。表題曲を終えると「これが僕にとって最初の東京での公演なんだ」と挨拶し、会場に詰めかけた観客から喝采を浴びた。
4人の女性ダンサーと共に、ステージいっぱいに動き回りながら歌うカリードは、終始笑顔。哀愁を帯びた美声を披露するも、黄色い歓声が上がると照れ笑いを浮かべる場面も。ベニー・ブランコとの「イーストサイド」にいたっては「新しい曲だから間違えても許してね」とMC。しかし、同曲からシームレスに「ホープレス」のコーラスに繋げるあたりはさすがだ。
(Photo: Masanori Naruse)
メロウな楽曲を中心に進行していたカリードのステージは、「楽しもう」という一言の後に披露した「ヤング・ダム &ブローク」で転換点を迎える。フロアにマイクを向けるとクラウドは見事な合唱で応え、カリードはステージ上でダンサーとワイニーに興じた。「アメリカン・ティーン」のやんちゃさ全開である。
一方で、カリードはアーティストとしての成長ぶりも見せつける。今や客演に引っ張りだこの彼は、カルヴィン・ハリスのアルバム『ファンク・ウェーヴ・バウンシズ Vol. 1』収録の「ローリン」をはじめとしたコラボ曲でも存在感を示す。さらに、先日リリースしたばかりのEP『サンシティ』からは「モーションズ」と「ベター」の2曲を披露。デビュー作とはやや趣の異なる2曲で、会場は心地よい浮遊感に包まれた。
約1時間に及んだステージは、カリードがブレイクするきっかけとなった「ロケーション」に続いて「キープ・ミー」でラストを迎える。「僕を君の心の中に留めておいて」という歌詞は、この日STUDIO COASTに集まった人々へのメッセージのように思えた。アンコールが沸き起こると「OTW」を披露し、やはり笑顔でセットを終えた。
今年20歳の誕生日を迎えたばかりのあどけなさと、アーティストとしての成長の両方を見せつけた今回の公演。“I’ll be on the way”と歌うカリードの向かう先はどこなのか、今後も目が離せない。
(文・奥田翔)