「Where Do We Go? LIVE STREAM」
日本時間10月25日午前7時過ぎに始まった配信ライブ。ビリーは半袖のTシャツにハーフパンツ、という彼女らしい出で立ち。ステージにはビリーと、兄のフィネアス、ドラムセットというシンプルな構成。赤を基調としたライティングと、合成による演出で非現実で無機質な世界へと連れていかれる中で「burry a friend」で始まった。この曲の雰囲気にはバッチリ合っている。しかし、この1曲めの後、画面がフリーズしてしまい、何度かのリロードを経て再接続。コメント欄を見る限り、このタイミングで1曲パフォーマンスされたようだ。そして、同じく接続が落ちてしまった人は多数いたようだ。
あまりBillie Eilishを聞いていない人からすると、彼女の楽曲はダークでおもたい印象が強いかもしれないが、そのメロディセンスは素晴らしい。それを感じさる楽曲が続く。「my strange addiction」が終わり、「ocean eyes」の前には巨大なスクリーンにファンの顔が映されるサービスも。「i love you」では兄のフィネアスとハイチェアに座り、しっとりと歌い上げる。「This song saved my life」と言ったコメントも届いている。
一転「ilomilo」では海の中へ。巨大なサメやクラゲ、魚たちが泳いでいる中で3人がパフォーマンスをしている。その中に、何やらキャラクターも泳いでいる。最後は巨大なサメの口の中へ・・・という映像の演出。これも配信ならではか。
※シェア用の画像や動画は、インスタグラム用に正方形にアサインされていた。
畳み掛けるように映画007の主題歌「no time no die」へ。そして「All the good girls go to hell」を歌い終えたところで、背景には「NO MUSIC ON A DEAD PLANET」の文字が映され、ビリーがおもむろに「Vote,vote」と言葉を発した。11月3日に迫ったアメリカ大統領選挙への投票を呼びかけた。多くの若者がコネクトしているだろうこの機会を使って発信する、まさに現代を生きる表現者だ。
「everything I wanted」では再びファンの画像がバックに映される。「ファンウォール」と呼ばれるもので、参加を促すメッセージも画面には表示されている。ライブハウスなどとはまた違った双方向型のライブコミュニケーションだろう。個人的には一番好きな曲が聴けたのは感涙だった。
現状での最新シングル「my future」は、3Dの森の中でのパフォーマンスとなった。前半のしっとりとしたパートでは、森はまだ薄暗く雨が降っていたが、アップテンポなパートになると雨が上がり、日傘仕込み、カラフルな森へと変わっていく。ヴィジュアルとの融合を見事に果たしている。
そして、言葉短く、しかし確実に何か手応えを感じたであろう充実感を漂わせた感想を伝え、ファンへのメッセージを述べたあと、ラストソング「bad guy」が始まった。スタートの赤を基調としたステージではなく、イエローをベースとした映像演出で、生ドラムにのせた「bad guy」はZ世代のロック・アンセムになるのではないだろうか。
「またすぐに会いましょう!」と笑顔で語るとともに、もう一度、大統領選挙への投票を強く呼びかけた。彼女は18歳。著者は40代で、どうしても「まだ18歳」と表現してしまいがちなのだが、18歳という目線で見つめて感じた世界に共感する、これからの時代を生きていく若者が世界中にいるんだ、ということをもっと自覚する必要があると感じた。
濃厚な1時間をありがとう。
著者が確認できたセットリストは、以下の楽曲だ。
burry a friend
my strange addiction
ocean eyes
xanny
I love you
ilomilo
No Time To Die
when the party’s over
all the good girls go to hell
everything I wanted
my future
bad guy
(NO.16 編集部)