ようやくここ日本でも彼女の曲がよく耳にするようになってきた。その人物とは、Rina Sawayamaだ。1990年に新潟県で生まれたRina Sawayamaは、現在ロンドン在住。13歳から音楽活動を始めたという、駿才である。しかもケンブリッジ大学を卒業、The1975やPale Wavesなどが所属するレーベル「Dirty Hits」所属。
去年頃から日本でもテレビで取り上げられたり、VOGUE JAPAN Women of the year 2019に選ばれたりと、徐々に注目は集まっていたものの肝心の楽曲はそこまで耳にする機会はなかったように思う。
「第2のレディー・ガガ」とも形容された彼女だが、それを象徴するような新曲「LUCID」を発表した。この曲は、まさにレディー・ガガのプロデュースも行っているBlood Popとの共同プロデュースで、「Rain On Me」を彷彿とさせるエレクトロ・ナンバー。
MV撮影の裏側も最後にちょっと見ることができるので、ぜひ見ていただきたい。
ただ、日本のラジオやテレビは現在かなりのJ-POP偏重が見られるので、今後、彼女の音楽が出身である日本でどれだけ広がるのか。
彼女のアルバム「SAWAYAMA」を聞いてみると、彼女の音楽性の幅広さに驚かされるはず。アルバム冒頭の「Dynasty」は、ゴシック・メタルを思わせるような重たいギターとストリングスを取り入れ、「STFU!」でもオルタナロック顔負けのギターアレンジとなっている。彼女のルーツには、オルタナロックが必ずどこかに潜んでいるはずだ、と確信している。
また「Akasaka Sad」「Tokyo Love Hotel」「Tokyo Takeover」といった、日本の地名をタイトルに入れて、楽曲の中にも日本語がちらほら聞こえる曲もある。
以前、日本の音楽の鎖国状態に危機感を抱く、というようなコラムも上梓したが、彼女のように、小さい頃に日本を飛び出し、しっかりとした英語力を持ち海外で評価される日本人というのはきっとこれからどんどん増えていくはず。そういったアーティストを、我々日本に住むリスナーがしっかりとキャッチできているのか、と不安になってしまう。
もちろん、音楽というのは聴く人によって好みが分かれるので、以前も書いたようにJ-POPというのは日本人の琴線に触れるメロディや歌詞が多いのは疑いの余地はない。しかし、世界基準で活躍している、注目されている日本人を、日本に住む人が「知らない」というのは少し悲しい状況になってしまうので、是非とも彼女の名前と音楽を一度は耳に入れていただきたい。
(NO.16編集部)