人工衛星はやぶさ2が、小惑星の岩石を採取したとされるカプセルを地球に落とし、そして再び宇宙の旅への出発していった。人間のあくなき探究心で、小惑星りゅうぐうの岩石から、地球の生命誕生の鍵を探ろうというプロジェクトだ。
この広い宇宙で、生命は我々地球だけなのか?
この広い宇宙で、手を取り合える生命は他にいないのだろうか?
宇宙科学、生命科学が進めば進むほど、その疑問というか地球人類の叫びにも似た希望にぶつかるのだ。きっと、この広い宇宙の、どこかの星には、我々のように知性を持つにまで進化した生命が住む星があるはず!その生命体に、地球の音楽文化を伝えようとしたプロジェクトが存在したのだ。もちろん、知っているよ!という方も多いだろう。しかし、すでに43年が経っている。改めて「ゴールデンレコード」に触れてみたい。
1977年、アメリカによって打ち上げれたのが、太陽系外の探査のための探査機、ボイジャー2号だ。この探査機は2018年11月に太陽系を出て、2020年6月現在、太陽から約186億キロ離れたところを飛んでいるとされる。もはやよく分からない距離感である。このボイジャー2号には、「ゴールデンレコード」と呼ばれるレコードが積まれている。これは、異星人と接触した時に、地球人類がどんな文化を持っているのかを伝えるためのもので、画像の他に、風や波といった地球の環境音、動物の鳴き声、55種類の地球言語による挨拶などが収録されている。
そして、地球上の「音楽」も、収録されているのだ。どんな曲が収録されているのかというと・・・
モーツァルトの「魔笛」や、ヴェートーヴェンの「運命」といったクラシックから、ペルーのフォルクローレの代表曲「コンドルは飛んでいく」、日本からは尺八の古典楽曲「鶴の巣籠」など。そして、現代音楽としてジャズやロックも収録されているのだ。
ジャズは、ルイ・アームストロングの「メランコリー・ブルース」。
そしてロックは、チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」だ。
はやぶさ2号の意義として挙げられたことの一つが、惑星間を往復できるようになったこと、なんだそうだ。行って帰ってくる。太陽系の中でもそれだけ大変なことなのだ。ましてや、ボイジャー2号が打ち上げられた1977年当時は、そんなことすら技術的に思いつかない時代だっただろう。ボイジャー2号は行ったっきりの片道切符。搭載されたゴールデンレコードは、果たして宇宙のどこかで、誰かに聞いてもらうことができるのだろうか?可能性はゼロではないことは確かだ。
あれから43年、地球上の音楽文化も大きく変わってきた。ゴールデンレコードを聞いて、異星人が地球にやってきたとき、Lady Gagaを見聞きしたら腰を抜かしてしまうかもしれない。そんなことを想像してしまった。
(NO.16編集部)