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[コラム] ダライ・ラマがアルバムをリリース

NO.16編集部コラム


イギリスの音楽史、NMEの記事によると、チベット仏教のダライ・ラマ14世が、自身の85歳の誕生日にアルバムをリリースするそうだ。タイトルは「Inner World」。
https://www.nme.com/news/first-album-dalai-lama-first-album-2684677

アルバムは11トラックが収録されており、全てがダライ・ラマのマントラ(真言)や説話が吹き込まれているということ。もちろん、バックトラックもつけられているようで、参加アーティストの中には、グラミーアーティストでシタール奏者のアヌーシュカ・シャンカールの名前もあるようだ。

現在、サウンドクラウドで「Compassion」というトラックが聞くことができる。

浮遊感のあるシンセサイザーと、柔らかく全体を支えるベース、時折入ってくるギターとピアノのトラックに、ダライ・ラマの語りが乗ってくる。とても聞いていて気持ちの良い、落ち着くサウンドだ。アルバムの全体像はわからないが、ヒーリングミュージックとして聞くことができる。

キリスト教には賛美歌や聖歌があり、イスラム教のコーランを読む声はまるで歌声のようである。また日本の仏教においては御詠歌、と呼ばれるの、仏教の教えを五七五七七の 和歌にして、旋律をつけて唱えるものがある。これは宗派によって様々なものがあるそうだ。読経そのものも、まるでラップというか、ポエトリー・リーディングとは違うリズム感があって、これもまた音楽のようである。

現役のお坊さんが般若心経をトラックに乗せて歌った(と表現させていただきます。)楽曲もある。筆者は仏教徒ではなく、その般若心経の一言一言がどんな意味を成し、どんなことを伝えようとしているのかは、残念ながらわからない。しかし、聞いていると不思議と心が落ち着くのだ。

こうした表現方法は、仏教をそこまで知らない人たちにとっては新しい接点の一つとなりうるだろう。

ダライ・ラマが85歳の誕生日(7月6日)に、なぜアルバムをリリースするのか、その真意は計りかねるが、チベットは中国からの激しい圧力や差別を経験している。また、それは今なお続いている。そして、ここ10年を振り返ってみても、世界のどこかで常に宗教や人種など様々な「違い」を理由に混乱が起きている。そんな世界を目の当たりにして、居ても立ってもいられなかったのかもしれない。自身も高齢となってきており、後世の人たち、または自身の後継者に向けてのメッセージを、音楽という万国共通のフォーマットを通して届けよう、ということかもしれない。

◆ 関連ニュース:Inner World by Dalai Lama

(NO.16編集部)

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