マイケル・ジャクソンがこの世を去って、6月25日で11年が過ぎた。
1969年にJackson 5のメンバーとしてメジャーデビューを果たしたとき、まだ11歳だった。King Of Popと呼ばれたマイケル。その後、ソロとしてアルバム「スリラー」が世界的大ヒット作となり、世界中の誰もが知るスーパースターの地位に上り詰めた。
そんなマイケルの音楽は、どんな「ジャンル」なのだろうか?King Of Popと謳われるくらいなので、もちろんポップ・ミュージックだろう。しかし、アメリカではこれまで、黒人アーティストが作ったポップ・ミュージックを包括して”Urban(アーバン)”と呼んでいたという。つまり、マイケルの音楽も、当時は「アーバン」に分類されていてもおかしくなかったのだ(実際そうだったのかもしれない)。
しかし、白人警官が黒人男性を死に追いやった事件をきっかけに世界的な広がりとなったBlakLivesMatterの動きを受けて、アリアナ・グランデやドレイクといったアーティストが所属する「リパブリック」というレーベルが、今後一切、音楽ジャンルとしての「Urban」というワードを使わない、と宣言したのだ。
「ジャンル」というものは、ほとんどが後付けで、客観的に分類されるものだろう。こうした分類は色々と整理しやすくなるメリットはある。例えばレコードショップのフロア分けや、棚分け。さらには系統立てて分析する場合。レゲエやスカといった明確にリズムなどで分かるジャンルや、アフロビート、ハワイアンといった土地由来の個性がある音楽など、わかりやすいものもあるが、このジャンルというものは非常に曖昧なものがほとんであろう。明確なジャンルの規定を作ったとしても、必ずどこにも属さないものが存在する(それを総称してオルタナティブ、と呼んでいるのかもしれないが)。デスクトップ・ミュージックの進化で、よりジャンルの壁は取り払われている時代、ましてや黒人が作った音楽を総称して”アーバン”、という分類の仕方は、確かにそぐわない。不勉強で、著者はあくまで「都会的な雰囲気を持った音楽」という認識だった。反省である。
むしろ、作っているアーティストが「これは〇〇の曲だ!」という宣言がない限り、あくまで「そのアーティストの音楽である」、という表現以外はマッチしないのが本当のところだろう。とはいえ、グラミーなどのアワードや、ランキングといったある程度の系統分けがどうしても必要になってくるという部分もあるだろう。なお、グラミー賞には「Best Urban Contemporary Album」と「Best Latin ROck,Urban or Alternative Album」という賞が存在しているが、来年のアワードで、果たしてどうなるのか。これまでも黒人アーティストへの不誠実さが訴えられてきたグラミー賞なので、この辺りは注目となるかもしれない。
さて、今日はKing Of Pop マイケル・ジャクソンがこの世を去った日である。今なお、ポップ・ミュージックの頂点に立っているアーティストは、あえて言うが黒人アーティストのマイケル・ジャクソンなのだ。日本人には実感はないのかしれないが、この事実はきっととてつもなく凄いことなのだろう。彼が亡くなって11年の月日が流れている。若い人の中にはマイケルの音楽を知らない、と言う人ももしかしたらいるかもしれない。この機会にぜひ彼の音楽を聴いてみて欲しい。
(NO.16編集部)