今年のレコードストアデイが今週末に迫っている。
毎年、4月の第1土曜日と、11月の毎週金曜日のブラックフライデーで「独立したレコードストアの文化を祝う」ために開催されているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、8月29日、9月26日、10月24日の3日を「RSD Drops」と銘打って開催される。
これは、3ヶ月に渡って限定盤をレコードストアにドロップすることで、ソーシャル・ディスタンスを確保しつつ、確実なキャッシュフローをもたらす、という意図があるそうだ。
なお、日本のレコードストアデイでリリースされる作品は、こちらをご覧いただきたい。
https://recordstoreday.jp/itemyear/item2020/
さて、皆さんはどのように音楽を聴いているだろうか?
音楽の「ソフト」は、録音媒体がない時代は「楽譜」としてリリースされていた。つまり、楽譜を買って、家で演奏する。聞くのではなく演奏するのだ。そこから、レコードという録音媒体が生まれ、家にいながらプロの演奏や歌を聴くことができるようになった。
その後、カセットテープ、CD、DAT、MDと様々なソフトが誕生していった。もちろん、いま、音楽を聴くのはオンラインで、ダウンロード・・・はせずに、サブスクリプションサービスを使って聞く、という人が大多数になっているのではないだろうか。特に若い世代になればなるほどフィジカルの音楽ソフトを買う、という行為そのものが未体験の人も多いだろう。すでにアーティストにとってはCDのリリースをしない、という選択肢も普通に存在している。
とはいえ、近年はカセットテープやアナログレコードの売り上げが以前に比べると増加したりもしているそうだ。
https://www.musicman.co.jp/column/286214
筆者は生まれがギリギリ1970年代の40代。バリバリのCD世代である。レコードをディグることはなかったが、子供の頃に親にせがんで「ドラゴンクエストⅢ」のサウンドトラックをレコードで買ってもらったり、「天空の城ラピュタ」のドラマ盤と呼ばれる、音だけで映画を楽しむレコードが家にあったりと、それなりにレコードも楽しんだ世代だ。もちろん、カセットテープやMDで自分だけのいわゆるミックステープも作った(今で言うところのプレイリストだ)。
こういったフィジカルのメディアの良さは、目で見て、手に取ることができる。洋楽の日本盤などは、歌詞カードであったり解説を読むのも楽しみの一つだった。また、以前はそこまで試聴機と言うものもなかったので、「ジャケ買い」(すでに死語になっているのだろう)・・・ジャケットでCDやレコードを買うこともあった。
一方で、筆者の自宅も大量のCDが存在しており、引越しや模様替えのタイミングで泣く泣く数を減らすものの、それでも場所を取るほどだ。
デジタル化はそういったデメリットを解消してくれる。
ウィズコロナ時代、ライブやフェスが開催できない状況で、外に出なくてもネット配信などでライブすら楽しむことができる時代となった。しかし、ライブに関しても、あのライブハウスの熱量やフェスの開放的な空間で聞く音とはやはり全く別物だ。
そんな中で今週末やってくるレコードストアデイ。
ぜひ、レコードを聴いたことがない世代には、一度でいいからレコードで音楽を聴いてみて欲しいと思う(もちろんプレイヤーが必要となってしまうが・・・)。筆者が感じるレコードの音は、やはり音の広がりだろう。アナログ録音なので、デジタルではカットされてしまう周波数まで再生できる、と言うのが理屈だ。その周波数を耳で聞き分けられるのか、と言われるとかなり自信はないのだが、でもふだ聴いているCDとは違う、と言うのはわかる。
さらに言えば、ネット配信(サブスクなど)で聴いている人には、CDでもいいので聴いてみて欲しい。アルバムを通して構成された楽曲の並び、アルバムが終わった時の寂寥感。次は何を聞こうかと棚を探す楽しみ。これ、どんなこと歌ってるんだろう、と歌詞カードを開く好奇心。
きっと、何か新しい発見があると思う。
(NO.16編集部)