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[コラム] 2020年代のロックの新スタイル

NO.16編集部コラム


日本人が「ロック」と聞くと、どんな音楽を頭に思い浮かべるであろうか?バンドで、ギターの音が鳴り響き、オーディエンスはモッシュで盛り上がる(今はできないが・・・)。そんな音楽かもしれない。しかし、以前よりアメリカやイギリスにおける「ロック」という音楽の定義はジャンルレスなものになっていた。ロックの中でも細分化され、数多くのサブジャンルがあることからもそれは一目瞭然だろう。とはいえ、筆者ももちろん昔は「ロック=バンド」という、固定観念を持ち続けていた人物である。雑誌「Rockin’ On」を読んでいた当時、表紙がケミカル・ブラザーズだったりエミネムだったりしたことがあるのだが、まだ若かった自分は「ロックじゃなくね?」などと、頭の狭い考えに支配され、思わず読者アンケートのハガキに、その疑問をぶつけて投書したこともある。

近年は、あらゆるジャンルでジャンルレスが進み、第3者がカテゴライズするのは難しくなっている。おそらくアーティスト自身もそこまで気にして活動はしていないのだろうが。

そんな中で、敢えて「ロック」の新しいスタイルを体現していると感じるバンドをご紹介したい。(すでにナンセンスなことになりつつあるが、お許し願いたい。)

どちらもイギリスのバンドだ。イギリス、という国は歴史のある伝統的な文化も色濃い国だが、外から文化を取り込み、アレンジしていくことも非常に得意な国だとも思う。現代のポップ・ミュージックの源流の一つでもあるビートルズやローリング・ストーンズが最たるもので、彼らはアメリカのチャック・ベリーやエルヴィス・プレスリー、R&Bに憧れを抱きつつ、自分たちの音楽へと昇華させていった。ザ・ポリスやエリック・クラプトンもレゲエの要素を取り込むなど、アメリカとはまた違う音楽の進化を果たしていった。

そして、ここ最近、新しいイギリスのロックの形を体現しているのが、Black MidiとBlack Country,New Roadではないだろうか。

どちらのバンドも、ポスト・ロック、ポスト・パンクなどを吸収していることをうかがわせるが、もう一つ、彼らの共通項が「ジャズ」ではないかと思う。それぞれの楽曲に漂うインプロヴィぜーションを感じる構成などは、まさにジャズのセッションから来ているように思う。

音楽、というもの(アート全般に言えるかもしれないが)は、ゼロから生み出すことは相当難しい。小さな頃から耳にしてきたものが蓄積され、消化され、新たなアウトプットの肥やしとなっていっているはずだろう。おそらく、2つのバンドのメンバーの中に、ジャズを通ってきたメンバーがいたのではないだろうか?あくまで想像の範疇を超えていないので、なんとも言えないが。

それでも、ここ数年、ヒットチャートからバンドの姿が見えなくなり、エレクトロ・HIP HOP全盛期だったが、彼らの登場で再びロックの熱も盛り上がっていくかもしれない。もちろんジャンル間に優越があるわけでもないので、何が流行っているだのチャートに多い少ないだのという話自体がナンセンスなのだが、それでもロックも好きな音楽ファンの1人としては、バンドがまた元気になってくるのは嬉しい。

また、最近では80’sサウンドが復活したり、70年代ソウルサウンドがヒットしたりと、改めて過去の音楽へのリスペクトが高まっているようにも感じる。2000年代のガレージリバイバルではないが、ロックンロール・リバイバル、というのももしかしたら今後でてくるのかもしれない。今はストリーミング・サービスで、過去の音源にもアクセスしやすくなった。改めて、以前の音楽を聴くことで、「今」の音楽をより深く聴き込むことができるかもしれない。

(NO.16編集部)

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