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[コラム] オリンピックと文化発信

NO.16編集部コラム


コロナの収束が一向に見えてこないここ日本。オリンピックの開幕まで2ヶ月を切った現在でも、日本各地に緊急事態宣言が発令中だ。様々な業種業態が大きな打撃を受けている中、オリンピックは開催に向けて進行しているようだ。アスリートの皆さんは、苦悩の中で開催されれば全力を尽くす覚悟で日々トレーニングに向き合っているだろう。

さて、ここではオリンピック開催の是非を問いたいわけではない。オリンピックと切っても切れないのが、エンターテインメント、文化の発信なのである。特に開会式や閉会式では、開催国の歴史・文化やアーティストなどを世界に向けてアピールできる舞台であることは間違いないのだ。時に、アーティストにとっては、再び世界で活躍するきっかけを掴むチャンスにもなったりする。

2000年、オーストラリアで開催されたシドニー・オリンピック。この閉会式で、世界から再び注目を集めたのが、先日バースデーを迎えたカイリー・ミノーグだった。彼女は1987年にリトル・エヴァの代表曲「Loco Motion」をディスコ・サウンドでカバーし、デビューした。

続くシングル「I Should Be So Lucky」もディスコサウンドで、世界的なブレイクを果たした。しかし、そのルックスや楽曲から、マドンナのフォロワーというイメージを強く持たれるようになっていったのだ。映画に出演して、その映画がヒットしない、という流れまでまるでマドンナを追うようなキャリアになっている。しかし、デビューアルバム以降は、ヒットはしたものの、大ヒットまではいかず、1990年代はそれまでのアイドル路線から、シンガーとしての側面をより前に押し出した形にシフトしたが、徐々に表舞台から隠れるようになってしまったのだ。

そんな中で、2000年にリリースしたアルバムが久しぶりのヒットとなり、同じ年に開催されたシドニー・オリンピックで、その歌唱力と存在感を世界中に轟かせた。そして翌年のアルバム「FEVER」は世界中で大ヒットしたのだ。

各国の歴史、そして長い年月で育まれた音楽をはじめとする文化、そして現代、世界に名前を轟かせている人物を起用することで、世界に向けてその国をアピールする。その国の魅力を発信することで、観光などあらゆる面でプラスの効果が期待できるのだが、今年のオリンピックに関しては、オリンピックそのものへのイメージの低下が懸念されている。もちろんこれはアスリートにはなんら責任はない。彼らにとってはそれこそ名誉になるであろう、オリンピックという舞台が奪われてしまうことは、この上ない悲しみだろう。しかし、新型コロナウイルスの影響で開催そのものへの疑問が噴出してしまった。現実的に難しい部分もあるだろう。日本だけでなく、まだまだ収束への道筋がつけられていない国や地域もあるのだ。

と、ついついオリンピックの開催の是非に話がむいてしまいそうになる。

開会式の演出については、色々と問題もでたが、果たしてどんなものになるイメージなのだろう、と想像することがある。アメリカやイギリスは、数多くの世界的アーティストを抱えているので、この辺りの起用は容易だろう。今となっては、お隣り韓国もBTSやBLACK PINKなど、世界的な人気をはくしているポップアーティストがいる。こういった辺りに日本の音楽も食い込んでいってほしいな、というのが筆者のちょっとした希望なのである。J-POPを否定する気はさらさらない。私もJ-POPを聴いて育ったし、やはり日本人にはJ-POPがしっくりくるものだ。

チャートが全てでは無いだろうし、日本の音楽のことを好きで、知ってくれている海外の人たちも多いだろう。しかし、世界的なイベントに自信を持って送り出したアーティストが、世界で見ている多くの人たちから「誰?」といわれてしまうのは少し寂しい気がする。「COOL JAPAN」という言葉はもはや死語だろう。世界に目を向けるのをやめるのではなく、日本という個性を持ちながら世界に向けて届けて行くために何が必要なのかを、考える必要があるだろう。

(NO.16編集部)

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