連日、日本の選手が金メダルを獲得して、スポーツ観戦が純粋に好きな人は盛り上がっていることだろう。ただ、相変わらず東京における新型コロナウイルスの新規感染者数は多い状態が続いており、余談を許さない。ニュースを見ていると、コロナに関する報道がオリンピックに押しのけられているようにすら感じてしまうほど、オリンピック開幕からはそれまで揉めていたのが嘘のような状況だ。
暑さの問題、海の水質の問題など、さまざまなことがネット上で飛び交っているが、改めて、オリンピックの開会式を振り返ってみたい。
音楽担当の小山田圭吾氏、監督の小林賢太郎氏が開会式の直前で、辞任・解任を余儀なくされた。この問題については、多くの人が議論しているので、ここでは触れないでおこう。
開会式の音楽で気になったのが、なぜジョン・レノン、そしてクイーンの楽曲が使われたのか、ということ。(決して両アーティストだったり楽曲にケチをつけたいわけではない。)東京でのオリンピックが決まり、リオ・オリンピックを見ていた時、ふと疑問に思ったのは「いったいどんなアーティストが東京オリンピックの開会式や閉会式を彩るのだろうか?」ということだった。アメリカやイギリスにおいては、世界的に名前が知られているアーティストが多数いるので、彼らが出るだけでも盛り上がることは間違いない。リオではブラジルが誇る音楽ボサノヴァをフィーチャーしたり、スーパーモデルが出演したりしていた。
日本の音楽は、ガラパゴス化した「J-POP」が主流だ。シティポップ・ブームで、多少世界でも名前が知られているアーティストはいるかもしれない。逆に世界で活躍しているアーティストは日本では認知度が低くなったりしてしまう傾向もある。そうしたある種のねじれが続いている日本のエンタメが、どのように関わるのかが、不安でもあり期待でもあった。
リオの閉会式では、椎名林檎氏やMIKIKO氏、ライゾマティクスなどが関わり、その片鱗を見たかに思たが、1年の延期、演出チームの変更など、すったもんだの末があの開会式だったのだろう。日本のポップアーティストが世界に通じないのであれば、もっと日本古来の音楽をフィーチャーしても良かったのではないだろうか?その上で、上原ひろみなど今、まさに世界で活躍しているアーティストも起用して、多様な文化を発信できたのではないだろうか。また、RINA SAWAYAMAなんかは、日本が世界に誇るアーティストの1人だ。
日本が世界に無理に合わせていく必要はないだろう。それこそ多様性が失われてしまう。しかし、日本の文化が日本だけで終わってしまっては、もったいないし寂しい。すでに世界で知られている文化とアイコンを使って、日本らしさをしっかりと出していくことは、もっとしっかりと考えてみても良かったのではないだろうか。そして、是非とも世界基準で活躍できるポップ・アーティストの誕生を期待したいものである。閉会式はいったいどうなるのか、どんな人が花を添えてくれるのか、そしてフランスがどんな演出を用意してくるのかも注目されるであろう。
全体的に「?」と感じることが多かった開会式になってしまったことは否めない。そしてまだ競技が行われているが、これまでのプロセスであったり、コロナ対策、各種問題に対する対応の仕方など、色々なポイントで私たちはしっかりとチェックしていくことも必要だろう。
(NO.16編集部)