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Column Feature Tweet Yoko Shimizu

ラジオディレクターの仕事

YOKO SHIMIZU COLUMN


ラジオディレクター清水葉子コラム

清水葉子COLUMN
RADIO DIRECTOR 清水葉子

フリーランス・ラジオディレクター。TOKYO FMの早朝の音楽番組「SYMPHONIA」、衛星デジタル音楽放送ミュージック・バードでクラシック音楽の番組を多数担当。「ニューディスク・ナビ」「24bitで聴くクラシック」など。趣味は料理と芸術鑑賞。最近はまっているのは筋トレ。(週1回更新予定)

コラムを書き始めて半年あまり。今回は本来の私の仕事であるラジオの番組制作とはどんなものか書いてみようと思う。とは言っても、私はちょっと特殊な部類のラジオディレクターかもしれない。なぜならクラシック音楽の番組専門、みたいな形で仕事をしているからである。メインは衛星デジタル音楽放送ミュージックバードでの制作だ。ミュージックバードは専用のチューナーとアンテナを設置して聴く有料放送で、24時間専門チャンネルで特定のジャンルの音楽を楽しむことができる。それゆえに内容はかなりマニアック。クラシック、ジャズ、オーディオといったチャンネルは通常の地上波とは段違いの音質で聴ける、という高音質が「売り」なので、筋金入りの音楽好きが聴いているといっても過言ではない。

クラシックチャンネルで放送している「ニューディスク・ナビ」が私の担当番組だ。ウィークデーの週5日、夜6時から深夜0時まで6時間、週30時間に渡って新譜CDを紹介するという、とてつもないボリューム番組である。出演は音楽評論家の山崎浩太郎さん。ナレーションの収録は新譜の発売に合わせ、まとめて2週間の間に4、5日かけて行う。選曲は山崎さんご自身で、収録当日の朝、原稿が送られてくる。「ニューディスク・ナビ」の場合、山崎さんはフリートーク。主に紹介するディスクの曲目情報が原稿となっている。基本的には火、木曜日の午前中からお昼過ぎまで、休憩をはさみつつ、3時間近くスタジオに入る。収録を終えたら今度は私一人でナレーションの編集作業。山崎さんの調子が悪いと少々時間がかかる場合もあるが、あれだけの情報を頭に入れて喋り続けることができる山崎さんの能力にはいつも驚きである。

icon-youtube-play グラズノフ:バレエ音楽「四季」より秋(ニューディスク・ナビ番組テーマ曲)

次の作業は紹介するディスクをパソコンでリッピング。最近ではSACDもあるので、これも専用の録音機で録音。SACDはリッピングできないのでリアルタイムの時間を要する。音源とナレーションのファイルを揃えて、後はデータ入力者に託し、放送データを組み立ててもらう。曲目情報はこれも担当者に渡してHP用に打ち込んでもらう。最終的に放送となる時〈NOW ON AIR〉の表示でHPやチューナー本体に曲目、演奏者、レーベル、CD番号などを表示させるのだが、これはHP用のデータを元に私が全てを文字入力している。クラシック音楽の表記は特殊で、作曲者名や演奏楽器、団体名などもかなり長いので、文字数制限に引っかかってしまう。またディスクなどに入っている情報のみでは不十分で到底流用できないためである。音源配信のデータなども不完全であることが多いのをご存知の方も多いのではないだろうか。他のジャンルの音楽に比べて事情が特殊なクラシック音楽はこうした側面でかなり手間がかかる、ということは否めない。

もう一つの大きな仕事はTOKYO FMで放送している番組「SYMPHONIA」の制作である。この番組は私が選曲も担当している。ウィークデーの早朝4時からの1時間放送。火、水、木曜日が私で、金曜日はライブもので別のスタッフの方が担当している。番組の案内役は司会やインタビューの仕事でも活躍し、大学で教鞭もとっているアナウンサーの外川智恵さん。ナレーション収録は隔週で金曜日の午前中に行う。早朝の帯番組ということで、季節の音楽を集めたり、折に触れて作曲家の誕生日特集を組んだり、ゲストを迎えたりもする。ゲスト収録の時は所属事務所やレコード会社と事前に打ち合わせをすることもある。また外川さんとは楽曲紹介の文言や、演奏者の読み方のイントネーションなどを始めに確認してから収録に入る。クラシック音楽は専門家でもない限り、読み方はなかなか難しいので大変だが、外川さんには番組が始まった当初からナレーションを担当して頂いている。

icon-youtube-play クライスラー/オールド・リフレイン(SYMPHONIA番組エンディング曲)

その後はやはり一人で編集作業に入る。音楽とナレーションを組み合わせ、番組を完パケという形で納品する。完パケとは「完全パッケージ」の略称で、番組をすぐ放送できるようなまとめた形で提出することである。現在では一つの音声ファイルだが、局のサーバーに登録する前にこれまた重要な〈検聴〉を行う。ひと通り確認のため番組を聴くのである。1時間番組を通して、しかも場合によってはある程度まとめて納品することもあるので、なかなか大変である。ここでは内容の確認の他、音量のレベル、ノイズの有無、LRや位相など音声的なバランスの確認も行う。そして放送のタイムを記載したキューシートを提出して終了。

この他にもたくさんあるが、私のディレクターとしての仕事は主にこんな感じである。ロシア民謡に「一週間」というのがあったが、番組の組み立てを考えたり、音楽を選曲したり、原稿を書いたり、収録や編集をしたり、キューシートを作ったりしてすぐ一週間が終わってしまう。できればもう少しライブのコンサートを聴きに行ったり、映画を観たり、本を読んだりする時間を作りたいのだが、なかなか難しい。しかしそれでもこの仕事を続けているのは、何よりも番組制作の中で素晴らしい音楽や人との出会いがあり、それが楽しいからなのである。

icon-youtube-play ロシア民謡:一週間

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