猛暑が続く中、ひとときの涼を感じることのできるアートな作品…。
今回は、アメリカ、ボルチモア出身のインディーロックバンド、Animal Collective がもうじきリリースするニューアルバムをご紹介します^^
高樹千佳子(cent.FORCE)
MUSIC ON!の音楽番組「TVカウントダウンE.T」、NOTTVの音楽番組「LOVE&ROCK」でMCを勤め、無類の洋楽好きとしても知られる高樹千佳子。そのコアな知識と飽くなき探究心を、NO.16 Columnで好き勝手に披露してもらいます!(週1回更新予定)
アニマル・コレクティブは、とても個性的なインディーポップの革命児。ポスト・ロックやサイケデリック、エレクトロニカ、フォーク、ノイズ・ポップなどを融合させた、前衛的で実験的、サンプリングを駆使した重層的なサウンドが特徴です。変則的なビートを刻んだり、かと思えば幻想的でカラフルなサイケデリック・ワールドだったり、アバンギャルドで明るい、捻れたポップセンス…、ジャンルをカテゴライズしづらくて、音もあまり聴き慣れない感じだけど、すんなり耳に馴染む、どこかユーモラスでクセになる不思議な音楽です♪ どうしたらこんな音楽を思いつくんだろう…!‘フリーキーな音楽集団’と形容されるのも納得です。
90年代半ばに幼なじみ同士4人が集まって音楽活動を開始しましたが、(ちなみに、4人とも本名ではない名前で活動しています。‘パンダ・ベア’とか、‘ジオロジスト(地質学者)’とか…。変わってるでしょ!?)2003年に‘アニマル・コレクティブ’名義でアルバムをリリースしてからは、アルバム毎に新たなサウンドを取り入れ、どの作品も、その年を代表する傑作として高い評価を得て、数々年間ベストに選出されてきました。
特にバンド史上空前のヒットを記録して、国内外の音楽メディアから最大級の評価を受けた、2009年の9枚目アルバム「Merriweather Post Pavilion」(メリウェザー・ポスト・パビリオン)は、極彩色と光に溢れ、祝祭的で、ビーチ・ボーイズの影響も感じられる、アニコレの大傑作です☆☆☆
My Girls
Summertime Clothes
Brother Sport
Bluish
キラキラ光に包まれて幸せな気持ちになれる作品。アルバムのジャケは、日本人の心理学教授である北岡明佳さんによる錯視画で、じっと見ていると、動いているように見えますよ!
さらには2012年の「Centipede Hz」(センティピード・ヘルツ)も!(アルバムタイトルは、直訳すると「ムカデの周波数」!彼ららしい笑)この作品も好きで、私の2012年年間ベストアルバム第2位に選ばせていただきました☆ ちなみにこの時の第1位はミューズ (私が世界一好きなイギリスのロックバンド) だったんですが、ミューズが新作をリリースした年の年間ベスト1位は、必ず自動的にミューズになるので、まぁ実質、アニマル・コレクティブが1位だったということです^^
Today’s Supernatural
Moonjock
そのほかのアルバムから代表曲の一部を…
FloriDada
Fireworks
Grass
Water Curses
そして、もうじきリリースされる彼らの12枚目のアルバム!タイトルは「Tangerine Reef」(タンジェリン・リーフ)。海洋生物学者コリン・フォードと、ミュージシャンのJ.D.マッケイによるアメリカのアート・サイエンス・デュオCoral Morphologicとのコラボレーション作品で、国際サンゴ礁イニシアティブ(サンゴ礁の持続的利用と保全に関わる環境国際パートナーシップ)が推進する、‘2018年国際サンゴ礁年’ (サンゴ礁の生態系保全に向けて、様々な取り組みが世界中で進められる年) を記念して制作されたそうです。
‘オーディオヴィジュアル・アルバム’ と銘打たれた今作は、CGや人工的な加工を一切施すことなく、海底に広がる蛍光サンゴやカメオを低速度撮影した映像作品も、アニマル・コレクティブの公式サイトで公開されるそう。
これを書いている時点で唯一聴くことのできるオープニング・トラックの‘Hair Cutter’は、まさしく海の中を漂っているかのような、そしてサンゴ礁はじめ海の生物達に優しく寄り添うかのようなサウンドで、さらにMVは、海中のサンゴ礁が本当に美しく神秘的で…、心身浄化され、癒され、真夏にひとときの涼を感じられる映像作品となっています☆
アルバムに収録されている他の曲が現時点でまだ聴けないのでわかりませんが、今作はアニマル・コレクティブのこれまでの作品とはかなり趣を異にするものなのかなぁ。。例えばリリース後のライブで、これまでの曲とニューアルバムからの曲を両方やるとして、今作はどういった位置付けになるんだろう。。だけど、‘Hair Cutter’を聴く限り、映像と共にこのコンセプトで作品を作ることができるのは、アニマル・コレクティブをおいて他にいない気もするし、、
気になりまくりな彼らのニューアルバム、早く全貌が知りたい!!