今や日本人も様々な出自の人がいる。しかし、それでもなお「外見的に違いがあれば日本人とは認めない」というような風潮があることは大変残念に思う。そういった考え方をしている限り、今の世界からはどんどん取り残されていくだろうし、文化的な発展も望まないのではないだろうか。
硬い文章で始まってしまったが、今回ピックアップしたアーティストが、なぜ日本でもっと高く評価されないのかが、個人的に解せないのである。
そのアーティストとは、Jojiというアーティストだ。
彼は、神戸出身のれっきとして日本人である。日本人とオーストラリア人の両親に生まれ、18歳まで日本で暮らしていた。18歳で渡米し、YouTuberとしてのパフォーマンスをしていたが、2017年にYouTuberとしての活動を終え、本格的に音楽活動にシフト。先月、2枚目となるアルバム「Nectar」をリリースした。
1曲めの「Ew」から、彼のソングライターとして、シンガーとしての実力を十分に感じられる。ピアノのイントロから、少しフィルターがかかったような声とファルセット。まるでサム・スミスのようなその歌声は、耳にするっと入ってくる。
「Your Man」では、共同ソングライターにElderbrookのAlexander Kotzを迎えて、エレクトロポップを聞かせてくれている。
バラード、Hip Hop、R&B、エレクトロ・・・様々なスタイルを吸収した極上のポップアルバムとなっているのだが、サウンドもさることながら、フィーチャーしているアーティストも豪華だ。
ラッパーのリル・ヨッティ、いま注目を集めているイヴ・トゥモア、ニュージーランドの新たなポップスターのなりつつあるBENEE、そしてDiploだ。
もちろん先述したソングライターのAlexader Kotzも、まさに今のトレンドを引っ張るソングライターの1人。そんなアーティストたちとともに楽曲を制作しているアーティストが、あまり日本では話題になっていないのが残念でならない。
今や世界ではK-POPの地位が確立されている。しかし、いまだにJ-POPは限定的な人気にとどまっている。もちろんJ-POPがダメだ、というわけではなく、J-POPには日本人の琴線に触れるメロディラインであったり、日本語ならではの共感力がある。一方で、世界基準のアルバムを作っているアーティストがいることも、もっと注目されるべきだろう。
是非とも、一人でも多くの人にJojiのアルバムを聴いてみてほしい。
(NO.16編集部)