日本ではオリンピック招致委員会の森喜朗元会長が、女性蔑視と取れる発言をして辞任に追い込まれた。後任人事に関しても、当初、川淵三郎氏が森氏に「指名」されたとしたが(無論、本人も自身が理事でもない状態なので、決定すれば・・・という前提で話してはいたものの)、そのプロセスが問題視され、一転、後継指名を辞退し、混沌とした様相を見せている。コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれている東京オリンピックに、さらなる暗雲が垂れ込めているというのが現状だ。
森氏は83歳。旧来の日本のジェンダー論でいえば、「この歳の人なら仕方ないのかな」で、済んだのかもしれない。しかし、世界のジェンダー論はここ最近で急速に進んでいる。特に、アメリカのトランプ前大統領の発言によって、ジェンダー平等論は急加速したと言っても良い。そして、その流れを日本もしっかりと認識する必要性があったのだ。
ただでさえ、日本は2020年版のジェンダー・ギャップ指数で、日本はG7で最下位どころか、153カ国中121位という、目も当てられない状況ということに、国としてもっと本気で取り組む必要があるのだ。それは、オリンピックの開催国に決まった時点で、より力を入れるべき喫緊の課題だったのだろう。
アメリカでは、差別というものが実在するが、一方で差別に対して声を上げるという文化もしっかり育っている。ジェンダー問題も然りである。
つい最近も、シンガーのジャスティン・ティンバーレイクがSNS上で、かつて付き合っていたブリトニー・スピアーズとジャネット・ジャクソンに対して、謝罪のメッセージを発信した。
ブリトニーに関しては、メディアの取材に対して、関係性を暴露してしまったり、ジャネットは、NFLスーパーボウルのハーフタイムショウで、ジャスティンがジャネットの胸の衣装を剥ぎ取る形で、露わにさせてしまった。
そうした自身の過去を持ち出し・・・
現在の、ショービズ界には、とくに白人男性を成功させようとするという問題点がある。そう言ったポジションにいる1人の男性として、この問題に声を上げるという責任がある。無知だった自分は、当時、そのことに気づくことができなかった。でも、今後は二度と、誰かの不利益を自分の利益にはしない。
とメッセージを発信している。
ジャスティンにとっては、俳優としても成功し、過去のことを知らない世代が増えてきている今、過去のことを持ち出すのはデメリットが多い気もするが、これこそ、今の時代に沿ったアクションだったのかもしれない。もしかしたらある程度のファン層は離れていくかもしれない。しかし、インターネットがここまで普及していれば、過去の出来事は一瞬にして誰もが知る事ができる。また、SNSによってある部分のみを切り取って、誰しもが発信することもできてしまう。それによって、真実や真意が捻じ曲げれれてしまう危険性もある。それであれば、自ら謝罪の意思を示す方がよっぽど建設的だろうし、ブリトニーもジャスティンも大人になったからこそ、分かること、分かり合えることも出てきたのだろう。
今回の東京オリンピックが開催されるかどうかはさておき、日本における様々な問題・課題を浮き彫りにしていることは明らか。我々国民、企業、政治がこうした問題にどのように向き合うのかを、世界が見ている。
(NO.16編集部)