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【高樹千佳子コラム】3年ぶりに新作をリリースする「アリエル・ピンク」をピックアップ!

Chikako Takagi Column Vol.12


私の大好きなアーティスト、USインディーを代表する西海岸の奇才『Ariel Pink』が、3年ぶりに待望の新作をリリース!!!ということで、今回はアリエル・ピンクについてです♪

高樹千佳子 洋楽COLUMN
高樹千佳子(cent.FORCE)

MUSIC ON!の音楽番組「TVカウントダウンE.T」、NOTTVの音楽番組「LOVE&ROCK」でMCを勤め、無類の洋楽好きとしても知られる高樹千佳子。そのコアな知識と飽くなき探究心を、NO.16 Columnで好き勝手に披露してもらいます!(週1回更新予定)

まずはプロフィールから簡単にご紹介します。

ロサンゼルス出身の男性ミュージシャン。10歳の頃から自宅で作曲活動(宅録)を始め、04年にアニマル・コレクティブのレーベルPaw Tracksからアルバム「The Doldrums」をリリースし、USインディーマニアから注目を集めます。09年にはイギリスの名門レーベル「4AD」と契約し、翌年、Ariel Pink’s Haunted Graffiti (アリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティー) 名義でアルバム「Before Today」をリリースし、これがまた世界各国の様々な音楽メディアで絶賛されます? ←←← 私もこの年の ‘洋楽 my 年間ベスト’で第1位に選ばせていただきました^^
その後、2012年に2ndアルバム「Mature Themes」、2014年には初ソロアルバム「Pom Pom」を発表し、今年9月にソロ名義2作目となる新作「Dedicated To Bobby Jameson」をリリース♪

とまぁ、こんな流れです。

サイケデリックでメロウで…とても個性的。奇天烈で怪しいサウンドや世界観は、一言で言えば「変態」。柔らかく言えば、‘遊び心満載’って感じかしら。私は元々、こういった個性的で変態チックな音楽が好きなんです。でも、ポップで聴きやすいんですよ。そう、アリエルは、変態だけどポップなんです♪ メロディーもコーラスワークも美しいです。写真家などアート方面からもコラボの要請が多いみたいです。

初めてライブで観た時は、その出で立ちにもビビらされました。あれは2011年の「4AD evening」という、レーベル‘4AD’設立30周年を記念した、所属アーティスト3組の来日公演イベントでのライブだったんですが…(他にはDeerhunterとBlonde Redhead。4ADは好きなレーベルなんですが、それについてはまた次回に^^)、
アリエルは、アーティスト名らしく??、全身ピンクでキラッキラ。ぴったぴたのスキニーを履いて、ニルヴァーナのカート・コバーンのような金髪セミロングを振り乱しながら奇声や雄叫びを発していたんです。それにあの音楽。・・・目が点になりました。でもそのブッとび具合と、狙ってやっているわけではない、ありのままやりたいことをやったらこうなったんだという真っ直ぐな潔さに魅かれ、生で観てますます好きになったんです。

奔放な発言の数々で話題になったこともあります。マドンナに毒づいたり、そしたらグライムスに怒られたり、テイラー・スウィフトの楽曲を評価した流れで‘結婚したい’と言ってみたり(笑)。
みんなに苦笑いされている感じもありますが、、音楽は本当におすすめなので、興味を持っていただけたなら、ぜひアルバムを聴いて、来日公演が決まったら観に行ってみてくださいね^^

というわけで、アルバムごとにおすすめ曲などをご紹介します♪ ホーンテッド・グラフィティー名義とソロ名義、雰囲気はほとんど変わりません。

Ariel Pink’s Haunted Graffiti 「Before Today」

4AD移籍後初のアルバム。グラムロック、ソウル、AOR、ムーディーで70年代な音楽要素など、アリエルが好きなものを詰め込んだ、ローファイでサイケデリックで奇天烈な傑作。音楽サイトPitchforkで9/10点、年間ベストでリードシングル‘Round and Round’が100曲中1位、NMEで8/10点の高評価を得た他、国内外の音楽メディアから絶賛され、このアルバムでUSインディーを代表するアーティストに。
全曲おすすめでアルバム1枚通して聴いていただきたいですが、まずは‘Round and Round’を。

icon-youtube-play Ariel Pink’s Haunted Graffiti – Round And Round

Ariel Pink’s Haunted Graffiti 「Mature Themes」

前作と比べると奇天烈さは少し丸くなったけど、妖しげな楽曲もあり、ポップでメロディアスだけど変態ぶりも健在です。キラキラした楽曲もあって、美しく聴きやすいです。

icon-youtube-play Ariel Pink’s Haunted Graffiti – Only In My Dreams (Official Video)

Ariel Pink 「Pom Pom」

ソロ名義1作目。60年代を代表するプロデューサーで、ザ・ランナウェイズのマネージャーでもあるキム・フォーリーと、スピリチュアライズドのジェイソンらをゲストに迎えた、全17曲69分というボリューミーな作品です。
ダメ男のラブソングや、アメリカでポピュラーなゼリー菓子を題材にした曲、幸福感溢れるポップソング、サーフポップなどなど、多彩で、ひとひねりもふたひねりもあるアリエル・ワールドが展開されています。アリエル自身は、自分の音楽を‘カーニバル・ダブ・サイケデリア’とカテゴライズしているようです。

icon-youtube-play Ariel Pink – Put Your Number In My Phone (Official Video)

そして、今月リリースされたソロ名義2作目「Dedicated To Bobby Jameson」。今作は、実在したLAのミュージシャン、ボビー・ジェームソンに捧げられた作品です。
ボビー・ジェームソンは、60年代に活躍したシンガーソングライターで、ザ・ローリング・ストーンズやフランク・ザッパともコラボしていた絶頂期にドラッグに溺れ、音楽界から転落。35年に及ぶ隠遁生活を経て、自らの悲劇的な人生の物語を語った自叙伝を2007年に発表し、これに心を揺さぶられたアリエルが、彼に捧げるアルバム制作を決心したということです。ボビー・ジェームソンは、2015年に70歳で亡くなりました。

自身のルーツである‘ベッドルーム’ミュージックに立ち返り、心地良さと切なさが同居したノスタルジックなナンバーや、サイケデリックで奇天烈なナンバーなど、今作でもアリエル節炸裂です。レーベルはMexican Summerに移籍したようです。(こちらも私の好きなレーベルなんですが、それについてもまた今後取り上げますね^^)

icon-youtube-play Ariel Pink – Another Weekend [Official Video]

icon-youtube-play Ariel Pink – Time To Live [Official Audio]

icon-youtube-play Ariel Pink – Feels Like Heaven (Official Music Video)

あと、今年1月にリリースされた、Weyes BloodとのコラボEP「Myths 002」もおすすめですよ♪

icon-youtube-play Ariel Pink & Weyes Blood – Tears On Fire [Official Video]

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